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『黒牢城』がバズ度で圧倒、カンヌ映画祭出品ニュースバズと鑑賞意欲への効果
公開日: 2026/06/04

特集:カンヌ国際映画祭 2026 第2回

「第79回カンヌ国際映画祭」が2026年5月12日から23日にかけて仏カンヌで開催されましたした。カンヌの論点を整理する本特集。第2回は同映画祭の主要部門で上映された日本作品を中心に、話題性を示す「Webニュースバズ度」や浸透度の推移を用いて、映画祭が作品に与える影響について考えます。
※ 本記事で触れられている内容は2026年5月時点の情報です。

《目次》
 

カンヌのWebニュースバズ度は『黒牢城』が圧倒的

『黒牢城』
LE CHÂTEAU D'ARIOKA ©2026 KOKUROJO FILM PARTNERS

第79回カンヌ国際映画祭の主要部門で上映された日本関係作品とパルムドール作品につき、「Webニュースバズ度」(各作品に紐づく関連Webニュースの「関連性の高さ」を当社GEM Partnersが開発したアルゴリズムにより評価を行い、そのニュースのX(旧Twitter)でのエンゲージメント数(いいね数、リポスト数、引用数の合計)を重みづけして、ニュース公開日ごとに集計した値)の4月と5月の合計をみると、圧倒的に『黒牢城』がカンヌ関連Webニュースへの注目度が高かったことが分かります。

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黒牢城』はコンペティション部門ではなく、カンヌ・プレミア部門で上映された作品です。これに、カンヌ国際映画祭コンペティション部門常連の是枝裕和監督作品、綾瀬はるか・大悟主演の『箱の中の羊』、主演女優賞を獲得した濱口竜介監督『急に具合が悪くなる』が続きます。コンペティション部門最高賞のパルムドールを獲得した“Fjord”の日本での話題度が高くないことも特徴です。Webニュースの話題度は、コンペティション部門なのか、受賞したかどうか以外の要因も大きく影響しています。

なお、昨年はミッドナイト・スクリーニング部門で上映された川村元気監督・二宮和也主演の『8番出口』と邦画興行収入の歴代記録を塗り替えた『国宝』が圧倒的でしたが、『黒牢城』はそれらの作品に匹敵するレベルでした。※参考記事:「『8番出口』『国宝』はじめ、カンヌ国際映画祭上映作品の話題度・浸透度」(昨年は集計期間が4月から6月11日、今年は4月、5月の2カ月であることに留意)

『黒牢城』のバズはいつ、誰が生んだか

圧倒的なバズ度の高さを示した『黒牢城』の話題となったWebニュースの内容は5月20日に映画祭で作品が上映された時の反響(例 :【カンヌ映画祭】『黒牢城』世界初上映に喝采 本木雅弘が感涙、宮舘涼太も“日本映画の良さ”実感―オリコンニュース )や、キャストの本木雅弘と宮舘涼太がフォトコールで見せた「華麗なターン」に関するもの(例:本木雅弘&宮舘涼太、息ぴったりの華麗なターンで会場沸く 菅田将暉も驚き「練習した?」 ―オリコンニュース)などです。

年明けからのコンペティション部門出品3作品と『黒牢城』の動きを見ると、『黒牢城』は1月に小説「黒牢城」を黒沢清監督が本木雅弘らキャストを迎え映画化することが発表がされた際に大きなWebニュースバズの山があり、そのあとも定期的に話題喚起があったことがうかがえます。

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また、今回、カンヌ国際映画祭を訪問した『黒牢城』の監督・キャストごとのWebニュースバズ度をみると、黒沢清監督、主演の本木雅弘、菅田将暉は一貫して高めのバズ度です。一方、宮舘涼太は全体的にバズ度が落ち込んだ2月に一度上位に挙がっていますが、4月までは大きくバズ度を集めることなく推移し、5月に映画祭関連Webニュースバズ度で大きく伸びていることが分わかります。露出・話題性喚起において、今回の映画祭で大きく貢献したことがうかがえます。

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公開を控えた3作品の劇場鑑賞意欲度の推移

カンヌ国際映画祭のすぐ後に公開される作品について、こうした映画祭関連露出と各種宣伝施策の組み合わせは、作品の認知や鑑賞意欲にどのような効果をもたらしたのでしょうか。

箱の中の羊』の公開8週前となった4月4日実査から先週の5月30日実査までの毎週の動きを見ていきます。先週末公開を迎えた本作は8週前からじわじわと認知度、意欲度を上げて、特に映画祭での上映から公開にかけて力強く認知を上昇させています。

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黒牢城』と『急に具合が悪くなる』は公開日が同じ6月19日です。両作品の現在の状況としては、認知は『急に具合が悪くなる』が一歩リード、意欲は『黒牢城』が一歩リードしています。公開まで3週間ありますが、同じカンヌ関連作品とは言え、ジャンル・テイストが異なり、客層が異なると考えらえれる両作品を見たいであろう観客層に向けた認知、意欲の喚起がポイントとなってきそうです。

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そもそも映画祭全体の話題度は? 前年との比較

権威とブランド力のある国際映画祭に出すということはこうしたパブリシティ施策の側面を持ち、話題度はもとより、認知や劇場鑑賞意欲度への貢献が期待されるものです。その効果はそもそもの映画祭の全体の話題度とも無関係ではないでしょう。そこで、去年と今年のカンヌ国際映画祭に関連したWebニュースの全体のバズ度を比べました。

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こうしてみると去年のスパイク度合いが非常に大きかったこと、また、期間中の合計バズ度も昨年のほうが大きかったことが分かります。昨年大きな話題となったのは、先述のとおり公開後に邦画の歴代興行収入を塗り替えることになった『国宝』と、興行収入50億円を超えるスマッシュヒットとなった『8番出口』です。

「カンヌ国際映画祭での上映」関連のニュースが話題になるのは、作品の持つ要素も強いでしょう。しかし、映画祭全体としての話題性喚起力、プラットフォームとしての役割も重要で、それが、それほど有名ではない監督やキャストの快挙が、その後の知名度向上につながる、まさに映画祭出品効果となるはずです。その作品の力でニュースが話題になるだけでなく、カンヌだから話題になる。日本映画産業が海外志向を強めるなか、去年も今年も多数上映されるという素晴らしい実績ができました。一方、ビジネスとしては海外で成功するうえでも日本市場での重要度は変わらないなか、映画祭きっかけでの鑑賞意欲喚起は大きな後押しです。プラットフォームとしてのカンヌ国際映画祭自体の注目を上げていけるのか、ということも今後の日本の映画産業の後押しとして重要なポイントとなってきそうです。

© Mathilde Petit-Boh / FDC
特集:カンヌ国際映画祭 2026