プレイステーションストア売上2兆円突破:ユーザー体験とマーケティング機会の最大化を目指す~東京ゲームショウ2025
公開日: 2025/09/26
「東京ゲームショウ2025(会場:幕張メッセ)」が2025年9月25日に開幕しました。本特集では、同展示会で開催されたイベントのなかから、基調講演のほかB to Bセミナー「TGSフォーラム」の様子をレポートします。 第1回は、25日に行われた基調講演「ゲーム市場の変革者 : プレイステーション®ストアがもたらしたもの」の内容を紹介。ソニー・インタラクティブエンタテインメントの西野秀明社長CEOが登壇し、プレイステーションのネットワークビジネス20年の歴史と進化について詳細に語りました。
※本記事で触れられている内容は2025年9月時点の情報です。
ユーザーとゲームクリエイターをつなぐプレイステーションストア~2024年売上は2兆円を突破
ゲームソフト、追加コンテンツ、ビデオなどを購入・ダウンロードできるオンラインサービス「プレイステーションストア(以降、ストア)」。西野氏は、2024年には全世界で2兆円規模の売上を達成するまでに成長したと述べました。
同氏は、ストアをユーザーとクリエイターをつなぐ「エコシステム」と定義。「1億2,300万アカウントのユーザーと、1万2,000を超えるゲームを通じて、4,000以上のゲーム会社・クリエイターをつなぎ、ポジティブなスパイラルを築いています」とゲーム市場への影響力を強調しました。
ダウンロード時間の長さで悩まされたストア黎明期
現在ではオンラインでコンテンツをダウンロードすることが当たり前になり、様々な国と地域で同時にプレイできるようになりましたが、ストアが誕生した2006年当初、インターネット環境、ゲームディスクの売上との兼ね合いなど課題が積み重なっていました。西野氏は、「プレイステーション3」と同時にストアをリリースした当時の技術的な制約や課題を振り返りました。「当時はインターネット回線の速度が遅く、大容量ゲームのダウンロードに長時間を要するなど、多くの課題があり、並んでいたタイトルは10個程度でした」。
さらに、オンライン上でストアをオープンしても、ゲームディスク主流の状況がしばらく続いたと語りました。「フルタイトルのゲームが発表されても、ディスクが先行して発売され、デジタルはその後に配信という販売形態をとっていました。当時社内でも、初代プレイステーションの時代から長年けん引してきたディスクの売上を脅かすのではという懸念の声が上がることもありました」。
2010年代に入りインターネット回線が著しく発展し、ネットワークビジネスのチャンスが拡大したタイミングで「プレイステーション4(PS4)」が発売。「ディスク版とデジタル版を同時に発売することが可能になっただけではなく、バックグラウンドでのダウンロード機能も安定し、利便性が向上しました」とPS4がストアにとって大きな転機となったこと指摘しました。
最高の「遊び場」と「出版の場」として
同氏は、「プレイステーション5(PS5)」の時代を迎えるにあたり、ストアがユーザーにとっての最高の「遊び場」であり、ゲームクリエイターにとっては最高の「出版の場」を目指すために強化した点を共有しました。「まず、PS4からPS5へのシームレスな移行を可能にしたうえ、外出先からもスマホアプリを利用してゲームをダウンロードできるようにしました。そして、多くの国や地域の方々に楽しんでもらえるようにクレジットカードに限定せず、様々な決済方法を選べるように実装しました」とスムーズなユーザー体験を提供するために行った施策を紹介。
また、ゲームクリエイターに向けては「ベータ版リリースからプレイユーザーの反応を確認できますし、ユーザーデータを基にしてパーソナライズしたコンテンツを発信することも可能です」とし、マーケティング機会の最大化を目指していることを示しました。
西野氏は、ストアにおける日本のゲーム会社の売上の79%を海外が占めているなど、日本のゲームの需要に言及し、これからも日本のコンテンツを世界に届ける役割を果たしていくとの意志を示しました。そのためにAIをはじめとした最先端の技術への積極的な投資を通じて、パーソナライズされたコマース体験の実現を目指していくと締めくくりました。
- 第1回:プレイステーションストア売上2兆円突破:ユーザー体験とマーケティング機会の最大化を目指す
- 第2回coming soon
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