『ミャクミャク』『ラブブ』の人気急上昇、新興キャラクターの推しファン構成を老舗と比較
公開日: 2025/10/02
大阪・関西万博の公式キャラクター『ミャクミャク』や中国企業ポップマートが手掛ける『ラブブ』、SNS発の『パペットスンスン』など、新興キャラクターの台頭が目覚ましい近年。10月1日には『ミャクミャク』と『ラブブ』のコラボフィギュアが発売されるなど、さらに熱を帯びてきています。そこで今回は、推しファン人数が急上昇したキャラクターをピックアップ。各キャラクターの推しファンの実態について深堀りしていきます。
「推しファン人数」急上昇TOPは『ミャクミャク』

上記は、直近6カ月(2025年4月~9月)とその前の6カ月(2024年10月~2025年3月)の平均推しファン人数を比較し、比率ベースで急上昇したキャラクターのTOP10です(※)。今回、この上位5キャラクターに注目して、推しファンの実態を深堀りしていきます。
※対象期間において、「推しファンが好きなメディアとして最も高いもの」が「キャラクター」だったエンタメブランドに絞ってランキングを作成
1位は今年の4月に開幕した大阪・関西万博の公式キャラクター『ミャクミャク』です。 連日多くの来場者が訪れている万博の活況と相まって推しファン人数が上昇したと考えられます。2位はSNS発のキャラクター『パペットスンスン』。7月からフジテレビ系「めざましテレビ」内でショートムービーの放送が始まったことで、上昇幅が広がりました。3位には『リロ・アンド・スティッチ』が入りました。もとはディズニーのアニメーション映画ですが、キャラクター人気が根強いのも特徴。6月の実写映画公開に併せて人気が急上昇したものと思われます。そのほか、 4位にはバンダイから発売されている携帯育成ゲーム『たまごっち』、5位には中国企業ポップマートが手掛ける『ラブブ』が入りました。


上記は前述した「推しファン人数 急上昇比率」の上位5キャラクターの直近1年間の「推しファン人数」推移と、直近6カ月間の基礎情報です。
「推しファン人数(期間平均)」は、『パペットスンスン』が6.6万人/月で最も多く、9月調査回では期間中最大となる11.7万人/月に達しています。一方、最も少ないのは『ラブブ』で0.8万人/月でした。しかし、8月には期間中最大となる2.5万人/月を記録しており、直近の熱量の高まりが分かります。
平均年齢は『ミャクミャク』が41.2歳で最も高く、『たまごっち』が27.8歳で最も低くなりました。また、「支出金額」「最大許容支出金額」は、いずれも『ミャクミャク』が最も高く、積極的な支出意欲が見て取れます。大阪・関西万博の閉幕に向けての商戦が期待されます。また、推しファンがそのキャラクターにさらに支出できる金額ポテンシャルを表す"飢餓感"(「最大許容支出金額」から「支出金額」を引いた値)をみると、『ラブブ』の「支出金額」が「最大許容支出金額」を超えていることが分かります。すなわち、予算以上につい『ラブブ』に支出しているといった傾向が読み取れ、人気の過熱感がうかがえます。
急上昇上位5キャラクターが二分するファン歴と熱量の関係
次に上位5キャラクターの直近6カ月間の「ファン歴」構成比に注目してみました。

『ラブブ』『ミャクミャク』『パペットスンスン』の推しファンは比較的ファン歴が浅いことが分かります。なかでも『ラブブ』は、ファン歴「3か月未満」が半数以上を占め、1年未満では95%にもなりました。直近のSNS等での盛り上がりをきっかけに推しファン化したと推察されます。
それに対し、『たまごっち』『リロ・アンド・スティッチ』は、5年以上の推しファンが半数以上を占めるほか、「20年以上」も14%以上を記録。『たまごっち』は2025年8月に国内外累計出荷数1億個を突破し、来年には30周年を迎えるほか、『リロ・アンド・スティッチ』は最初のアニメーション映画の日本公開が2003年と、いずれもファンに長く愛されているキャラクターといえます。
最後に推しファンの熱量の高さを示す「ファンスケール」の構成比を比較します。こちらも直近6カ月間を集計対象としました。

最も熱量が高いファンである「人生の一部/信者」の割合に注目すると、前述したファン歴の長い推しファンが多いキャラクター『リロ・アンド・スティッチ』『たまごっち』の割合が高いことが分かります。反対にファン歴の浅い推しファンが多いキャラクターである『ミャクミャク』『パペットスンスン』『ラブブ』の「人生の一部/信者」の割合は低くなっています。
以上の比較から、ファン歴とファンの熱量に関係性があることが分かりました。ファンの熱量とは、キャラクターとファンが共に過ごした時間の長さや濃さによって醸成されうるものと言えそうです。ファン歴の長い『リロ・アンド・スティッチ』や『たまごっち』に熱狂的なファンが多いのは、その証拠です。
一方で、人気急上昇中の『ミャクミャク』『パペットスンスン』『ラブブ』は、まだファン歴が浅く、熱量もこれから高まっていく段階にあります。これは、短期的なブームを長期的な人気へとつなげるためのビジネス戦略の重要性を示しています。今後、これらの新興キャラクターが、一時的な人気に終わらず、長く愛され続ける存在となるためには、新規ファンの獲得と、コアファンの育成、双方のバランスを意識した施策が不可欠だと言えるでしょう。
毎月約3万人、全国に住む15~69歳の男女に対して、メディアを横断し「いま、推しているエンタメブランド」に関する大規模調査を実施。エンタメブランドの価値をメディア横断でとらえ、<推しファン人数><支出金額><接触日数>を集計しているほか、これらの値から総合指標<推しエンタメブランド価値(単位:GEM)>を算出しています
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