東京ゲームショウ史上最多の出展社数、『ドラクエ』『モンハン』人気シリーズの新作タイトルが集結
公開日: 2025/10/10
「東京ゲームショウ2025(会場:幕張メッセ)」が2025年9月25日~28日にかけて開催されました。過去最大となる47の国と地域から1,136の企業・団体が出展。4日間の来場者数は26万人を超え、盛況のなか閉幕しました。特集最後となる第3回は、各企業による出展ブースとその様子をレポート。カプコン、スクウェア・エニックスほか、人気ゲームブランドを有する企業をピックアップして紹介します。
※本記事で触れられている内容は2025年9月時点の情報です。
出展社数が昨年比約15%増で過去最大、来場者数は26万人以上
今年も会場は昨年同様に幕張メッセのすべてのホール(1~11)を使って開催。特に1~8ホールには、国内外問わず大きなシェアを持っている企業が出展しており、有名シリーズの新作発表やグッズの展示、試遊が行われました。ここでは大規模な展示を行っていた企業のうち8社をピックアップして写真とともに紹介します。
カプコン:『モンハン』 シリーズ初の本格的なスマホゲーム参入
『モンスターハンターアウトランダーズ』
カプコンは、『モンスターハンターアウトランダーズ』をメインに展示。今回初めてプレイアブル出展が行われたことや、本展示会初日の25日にクローズドβテストの実施が発表されたことから、試遊ブースは大きな賑わいを見せていました。家庭用ゲームに軸足を置いてきた『モンハン』シリーズのゲームシステムを踏襲したモバイル向けゲームとなっており、シリーズ初の取り組みとして注目されています。
『バイオハザード レクイエム』
同社のブースでは、『バイオハザード』シリーズのナンバリング作品において第9作に相当する最新作『バイオハザード レクイエム』も展示。ゲームシステムを一新した『バイオハザード7 レジデント イービル』が話題を呼び、続くシリーズ第8作『バイオハザード ヴィレッジ』も全世界販売本数が1,000万本を超えるなど、シリーズ初期を超える盛り上がりを見せています。
ブースには、同作の主人公「グレース」の等身大フィギュアも展示。ゲームの雰囲気を演出していました。
『PRAGMATA』
完全新規タイトルとなる『PRAGMATA』の展示にも多くの人が訪れていました。パズルによるハッキングとガンシューティングが掛け合わさった新鮮なゲームシステムと、主人公がアンドロイドの少女と月面施設を探検する、「バディもの×SF」の世界観が特徴です。
コーエーテクモゲームス:『仁王』シリーズ待望の最新作発売に向けて
『仁王3』
コーエーテクモゲームスは、2026年2月に発売を予定している『仁王3』を大々的に展示。全世界累計販売本数800万本を突破した『仁王』シリーズ待望の新作ということもあり、試遊コーナーには長蛇の列ができていました。『三國志』や『信長の野望』などの同社が抱える人気シリーズに続き、長きに渡って愛される老舗ブランドになり得るか関心が高まります。
『ゼルダ無双 封印戦記』
そのほか、同社の『無双』と任天堂の『ゼルダの伝説』とのコラボシリーズの新作『ゼルダ無双 封印戦記』を展示。11月に発売を控えており、「日本ゲーム大賞2025」では、『仁王3』と並びフューチャー部門(※1)を受賞しました。
※リアル出展、オンライン出展を問わず、「東京ゲームショウ2025」で発表・展示された未発売作品の中から、一般投票と選考委員会による審査を経て、今後が期待される作品を選んで表彰する賞
コナミデジタルエンタテインメント:『SILENT HILL f』の試遊に長蛇の列
『SILENT HILL f』
コナミデジタルエンタテインメントは、初代プレイステーションの時代から根強い人気を持つホラーゲームシリーズ『SILENT HILL』の新作『SILENT HILL f』を展示。本展示会の開催時点ですでに発売されていたものの、約10年ぶりの完全新作ということで、試遊が80分待ちと、人気・期待度が高いことが伺えます。
集英社ゲームズ:インディーゲームが業界に吹かせる新しい風
集英社の完全子会社として2022年に独立した、新進気鋭のゲームスタジオである集英社ゲームズ。2025年に発売した『都市伝説解体センター』は、ピクセルアートで描かれたユニークなビジュアルが話題を呼び、販売本数30万本を突破しました。ブースには、インディーゲーム5作品の試遊が並び、比較的小規模なゲームではあるものの、個性的なビジュアルに惹かれて多くの人が足を止めていました。
スクウェア・エニックス:『ドラクエ』シリーズのリメイク中心、グッズ展開も意欲的
HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&II』『ドラゴンクエストVII Reimagined』
10月30日(木)に発売を控えた、HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&II』の試遊が目玉となったスクウェア・エニックスのブース。昨年発売されたHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』と合わせて、Ⅰ〜IIIの「ロト3部作」がHD-2Dとして復活する節目からか、当時の雰囲気を思わせる懐かしいデザインのグッズ展示が特徴的でした。
2026年発売予定の『ドラゴンクエストVII Reimagined』は、今回は試遊こそなかったものの、キャラクターたちのドールやフォトスポットなど、ゲーム以外の体験に力を入れていました。
セガ:コスプレにライブステージ、体験型の展示を提供
『龍が如く 極3』
プレイステーション3のソフトとして発売された『龍が如く3』のリメイクとなる『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』。本シリーズは第7作から主人公を含む主要キャラクターが交代し、ゲームシステムもアクションからRPGへと劇的な転向を果たしました。以降、旧キャラクターのエピソードは外伝として発売していましたが、今回は一本のゲームに本編と外伝が同梱されるという、シリーズでは新しい手法を取っています。
ブースには人気キャラクターに扮したコスプレイヤーも登壇し、本シリーズに登場する架空の歓楽街「神室町」の世界を再現していました。
『ペルソナ3 リロード』
セガのブースでは、同社の完全子会社であるアトラスが2024年に発売し、ゲーム本編もさることながら、スタイリッシュな楽曲でも人気を集めた『ペルソナ3 リロード』のイベントを開催。同作楽曲のボーカルを務めた高橋あず美と、ラップパートを担当するLotus Juice (ロータス・ジュース)が生ライブを披露しました。
NetEase Games:新作ゲーム『無限大』への注目度高まる
『無限大 ANANTA』
スマートフォン向けの人気バトルロワイヤルゲーム『荒野行動』などを輩出した、中国に本拠を置くゲームスタジオNetEase Games。展示された新作の都市型オープンワールドRPG『無限大ANANTA』の事前登録数は既に1,500万人を超えており、試遊ブースは実に120分待ちの大盛況となっていました。美しいグラフィックと広大なロケーションを持つ本作。同系統オープンワールドRPG『原神』『鳴潮』などに並び立つ“覇権ゲーム”になり得るか期待が寄せられます。
バンダイナムコエンターテインメント:『デジモン』『塊魂』待望のシリーズ新作発売へ
『ワンス・アポン・ア・塊魂』
独特な世界観と「塊」を大きくする中毒性の高いシステムから根強い人気を持つ『ワンス・アポン・ア・塊魂』。家庭用としては14年ぶりの完全新作です。試遊はもちろんのこと、ブースに設置された「塊」のオブジェにも多くの人が集まっており、ブランクを感じさせない盛況を博していました。
『デジモンストーリー タイムストレンジャー』
2006年から続く人気シリーズ『デジモンストーリー』の新作『デジモンストーリー タイムストレンジャー』。前作の『デジモンストーリー サイバースルゥース ハッカーズメモリー』からおよそ8年ぶりの新作となります。試遊のほかにも、人気キャラクター「アグモン」との記念撮影や、本作の目玉システムであるデジモンに乗って世界を冒険する「デジライド」を再現できるフォトスポットなど、様々な展示が行われていました。
「体験」を中心にしたエンタテイメントビジネスの加速
過去最大の出展数となった東京ゲームショウ2025。この拡大は単なるゲーム人気の高まりではなく、ゲームそのものが「体験を中心とした複合的エンタテイメント」へと構造転換していることを示しているのではないでしょうか。
かつて、ブラウン管に繋がれたファミコンは、ゲームとプレイヤー1対1の楽しみを提供していました。しかし現在、多くのゲームはオンラインプレイやプレイヤー同士の対戦形式にシフトし、複数の人間が同時に楽しむ、ある種のプラットフォームと化しています。さらに、自身がプレイするだけではなく、eスポーツや実況配信を通して、ゲームを「観る」「応援する・推す」という受動的な体験も日常化されつつあります。ゲームは「プレイする/観る/(キャラ・プレイヤーを)推す」という三つの体験を提供するようになり、体験の間口が広がったことで来場者・出展者の増加をもたらしたと考えられます。
次回の東京ゲームショウは、例年から開催日が1日増え、5日間の開催となることが発表されました。年々規模が拡大する本展示会の動向に業界内外からの関心が高まります。
取材・文 中井 一希
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