メジャーに負けない存在感を目指すAmazon MGM、NEONとShowcase初開催の3社〈CinemaCon2026 スタジオラインナップ発表・第2回〉
公開日: 2026/05/01
2026年4月13日から16日にかけて、米ラスベガスにて世界最大級の映画興行ビジネスのコンヴェンション「CinemaCon(シネマコン)」が開催されました。本特集ではCinemaCon2026における各スタジオによるラインナッププレゼンテーションをレポート。第2回は、メイン会場でメジャースタジオ級の布陣を提示したAmazon MGM、独立系の立ち位置を更新したNEON、そして新設イベント「CinemaCon Film Showcase」に参加したエンジェル・スタジオ(Angel Studios)、ソニー・ピクチャーズ クラシックス(Sony Pictures Classics)、スタジオカナル(StudioCanal)3社の発表をまとめます。
※本記事で触れられている内容は2026年4月時点の情報です。
今回の大きなトピックの一つが、CinemaConのミッチ・ノイハウザー氏(Managing Director, CinemaCon)が開幕挨拶で発表した「CinemaCon Film Showcase」の新設でした。本イベントではエンジェル・スタジオ、ソニー・ピクチャーズ クラシックス、スタジオカナルの3社が参加し、それぞれ独自色のあるラインナップを披露しました。また、メイン会場のザ・コロシアムでは、Amazon MGMが『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の成功を弾みに大作ラインナップを提示し、NEONは年間興収5億ドル超に到達した実績を踏まえて独立系の存在感を一段と強めました。
Amazon MGM
マイク・ホプキンス氏(Head of Prime Video and Amazon MGM Studios)が登壇し、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の全世界興収が5億ドルを突破大胆な新作と有名IPを融合させる」というラインナップ哲学を掲げ、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に続く"ビッグスウィング(野心的な挑戦)"の位置づけとして“Masters of the Universe(邦題:『マスターズ・オブ・ユニバース』)”を紹介しました。
マイク・ホプキンス氏(Head of Prime Video and Amazon MGM Studios)Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
■ 2026年公開作品
“Masters of the Universe(邦題:『マスターズ・オブ・ユニバース』)”(北米公開:2026年6月5日)
トラヴィス・ナイト監督、ニコラス・ガリツィン、カミラ・メンデスが登壇し、世界中のファンに愛されるおもちゃ、アニメ、コミックの実写映画化を紹介。惑星エターニアの王子として生まれ地球で育ったアダムが最強の戦士「ヒーマン」となり、宿敵スケルターとの死闘を繰り広げるという物語を共有しました。ガリツィンは伝説の剣“パワーソード”を持ち込み、「空港のセキュリティを通すのが大変だった」とジョークを交えました。
左からカミラ・メンデス、ニコラス・ガリツィン、トラヴィス・ナイト監督Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
“The Sheep Detectives(邦題:『ひつじ探偵団』)”(北米公開:2026年5月8日)
カイル・バルダ(『ミニオンズ』シリーズ)監督、クレイグ・メイジン(『チェルノブイリ ーCHERNOBYLー』『THE LAST OF US』)脚本。ヒュー・ジャックマン、ニコラス・ブラウン、そして本作出演ため再登場となったニコラス・ガリツィンが登壇し、エマ・トンプソンが出演、ジュリア・ルイス=ドレイファスらが声優を務める、羊たちが羊飼い殺害の謎を解くファミリー・コメディであると紹介しました。
左からニコラス・ガリツィン、ニコラス・ブラウン、ヒュー・ジャックマンPhoto by David Becker/Getty Images for CinemaCon
“I Play Rocky”(北米公開:2026年11月20日)
ピーター・ファレリー監督、アンソニー・イッポリト(シルヴェスター・スタローン役)、ステファン・ジェームス、アナソフィア・ロブ、キキ・セトらが登壇。1974年、無名の俳優だったシルヴェスター・スタローンが自ら主演できる脚本『ロッキー』を書き上げるまでの、実話に基づいた作品であると紹介しました。ファレリー監督は、『ロッキー』が50周年を迎えることに触れ、スタローンの人生が作品と同じくらい感動的だと強調しました。
左からキキ・セト、アナソフィア・ロブ、ステファン・ジェームス、アンソニー・イッポリト、ピーター・ファレリー監督Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
■ 2027年公開作品
“The Thomas Crown Affair”(北米公開:2027年3月5日)
マイケル・B・ジョーダンが監督・主演を兼ね、アドリア・アルホナが共演。両者が登壇し、1968年のスティーヴ・マックィーン版、1999年のピアース・ブロスナン版の系譜を継ぐ新たな“The Thomas Crown Affair”であると紹介しました。また、IMAXカメラで撮影された洗練されたヘイスト(強盗)/ロマンチック・スリラーだとアピール。ジョーダンは「12歳で1999年のブロスナン版を観て以来、この映画を製作することを夢見てきました」と述べました。さらに、ミュージシャンのジョン・バティステがサウンド面でコラボレーションすることも紹介されました。昨年の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』と同じく、本作も公開前年のCinemaConで早期発表する戦略がとられました。
左からアドリア・アルホナ、マイケル・B・ジョーダンPhoto by David Becker/Getty Images for CinemaCon
■ 公開日未定
“Verity”
ダコタ・ジョンソン、アン・ハサウェイ出演のサイコロジカル・スリラー。コリーン・フーヴァーのベストセラー原作。
“The Beekeeper 2”
ジェイソン・ステイサム主演。第1作の成功を受けてスケールアップした続編で、ステイサム本人がビデオメッセージで「More is more」とアクションの派手さをアピールしました。
“Spaceballs: The New One”
ジョシュ・グリーンバウム監督のスペースコメディ。リック・モラニス(ダーク・ヘルメット役)が前作の『スペースボール』から30年ぶりの復帰を果たし、ビル・プルマン、ダフネ・ズニガら旧キャストも続投。前作の監督・主演のメル・ブルックス本人もビデオメッセージで登場し「タイトルは“Spaceballs: The New One”。前作と同じだが、新しいから新しいと言う」と笑いを誘いました。
“Highlander”
チャド・スタエルスキ監督、ヘンリー・カヴィル、ラッセル・クロウ、デイヴ・バウティスタら出演のアクション・ファンタジー。スコットランド、ポーランド、香港で撮影中であることがカヴィルのビデオメッセージで明かされました。
そのほか、5シーズンにわたるテレビシリーズ続編となる“The Chosen”の劇場版(ダラス・ジェンキンス監督)、1967年の日活ヤクザ映画『拳銃は俺のパスポート』を再構築した“A Colt Is My Passport”(ギャレス・エヴァンス監督)、デヴィッド・リーチ監督、ニコラス・ホルト主演の“How to Rob a Bank”、マハーシャラ・アリ主演スリラーの“Your Mother, Your Mother, Your Mother”が紹介されました。
注目のシリーズ『007』の次回作については、コートニー・ヴァレンティ氏(Head of Film, Amazon MGM Studios)が「細心の注意とリスペクトをもって進めています。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、プロデューサーのエイミー・パスカル氏など最高の製作陣が集まっています」と語るにとどまりました。
NEON
エリッサ・フェドロフ氏(Chief Distribution Officer:NEON)は、2017年にWeWorkの一室で6人で創業した同社が、現在は年間興収5億ドル超に達したことを報告。「インディペンデントはもはや小規模を意味しない。より機敏に動き、より大胆な挑戦をし、他では得られない作品を届けることを意味する」と立ち位置を更新しました。
エリッサ・フェドロフ氏(Chief Distribution Officer:NEON)Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
■ 2026年公開作品
“Hokum”(北米公開:2026年5月1日)
ダミアン・マッカーシー監督、アダム・スコット主演のホラー。ホーンテッドホテルを舞台にした心理的恐怖映画で、『シャイニング』を彷彿とさせる神話体系を持ちます。CinemaCon Excellence in Acting Awardを受賞したスコット氏は、マッカーシー監督の前作『視える』に衝撃を受けて出演を即決したエピソードを紹介しました。
アダム・スコットPhoto by David Becker/Getty Images for CinemaCon
“I Love Boosters”(北米公開:2026年5月22日)
ブーツ・ライリー監督、キキ・パーマー、ナオミ・アッキー、デミ・ムーア、ウィル・ポールター、ラキース・スタンフィールドら共演のコメディ。ライリー監督とCinemaCon Star of the Year受賞のスタンフィールド氏が登壇しました。
左からラキース・スタンフィールド、ブーツ・ライリー監督Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
“Leviticus“(北米公開:2026年6月19日)
エイドリアン・チャレラ監督の長編デビュー作のホラー。『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』制作チームが関わっています。
“A Place in Hell”(北米公開:2026年クリスマス)
クロエ・ドモン監督、デイジー・エドガー=ジョーンズ、アンドリュー・スコット、ミシェル・ウィリアムズ出演のサイコロジカル・スリラー。
■ 公開日未定
“Hope”
ナ・ホンジン監督、マイケル・ファスベンダー、アリシア・ヴィキャンデル出演のSFアクション・スリラー。元軍事区域近くの辺境の村を舞台に、地元の事件がこの世のものとは思えない脅威との戦いへとエスカレートします。カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品予定で、NEONが先週新規買付したばかりの作品。同社が米国に届けてきた『パラサイト 半地下の家族』『オールド・ボーイ』など韓国映画の系譜に連なる一作です。ポストプロダクション中ながら独占フッテージが上映されました。
CinemaCon Film Showcase
初回参加3社のラインナップは以下の通りです。
エンジェル・スタジオ
ブランドン・パーディ氏(Executive Vice President & Head of Theatrical:Angel Studios)は、過去3年間で19本を配給し、累計興収6億ドル超を達成、米国配給会社TOP10入りした実績を強調。200万人超のメンバーが作品のグリーンライト判断を担うコミュニティ「Angel Guild」のモデルを軸に、観客主導のアプローチを継続する方針を示しました。
ブランドン・パーディ氏(Executive Vice President & Head of Theatrical:Angel Studios)Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
注目作は“Young Washington”(北米公開:2026年7月3日 米国独立記念日/米国建国250年記念)。ジョン・アーウィン監督、ウィリアム・フランクリン=ミラーがジョージ・ワシントンの若き日を演じ、アンディ・サーキス、ベン・キングズレー、ケルシー・グラマー、メアリー=ルイーズ・パーカーが共演する戦争史劇/サバイバル・スリラーで、Wonder Projectとの共同プロジェクトです。フランクリン=ミラーがサプライズ登壇し、独占未公開予告編を披露。「サウンドだけでも劇場で観る価値がある映画」と語り、パーディ氏は「7月4日の全米No.1作品にしよう」と劇場関係者に呼びかけました。
ウィリアム・フランクリン=ミラーPhoto by David Becker/Getty Images for CinemaCon
そのほか、アンディ・サーキス監督、セス・ローゲン、ウディ・ハレルソン、グレン・クローズらが声優を務めるジョージ・オーウェル原作アニメ“Animal Farm”(北米公開:2026年5月1日)、アレハンドロ・モンテヴェルデ監督(『サウンド・オブ・フリーダム』)、ジム・カヴィーゼル、サム・ワーシントン、ベン・メンデルソーン共演の史劇“Zero A.D.”(北米公開:2026年クリスマス)、アラン・リッチソンとオーウェン・ウィルソン共演の“Runner”(北米公開:2026年9月11日)、レーガン=ゴルバチョフ会談を描く“The Brink of War”(2026年8月14日)、西部劇リメイクの“Angel and the Badman”(北米公開:2026年10月9日)、音楽グループ「for KING & COUNTRY」のジョエル・スモールボーンが出演するアクション・ミュージカル“Drummer Boy”(北米公開:2026年11月6日)、伝記ドラマ“Hershey”(北米公開:2026年感謝祭)も発表されました。
ソニー・ピクチャーズ クラシックス
新たにVP of Salesに就任したジョン・Z・シャヒニアン氏が登壇。同社は累計166部門のアカデミー賞ノミネーションを記録した世界有数の独立系配給会社です。
ジョン・Z・シャヒニアン氏(Vice President:Sales, Sony Pictures Classics)Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
日本市場との関わりで注目されるのは“Ha-Chan, Shake Your Booty”(北米公開日未定)。ジョセフ・クボタ・ヴラディカ監督(サンダンス映画祭 監督賞受賞)、菊地凛子主演の東京で撮影された多文化的なダンス映画です。社交ダンス界で活躍するハルとルイスを描き、悲劇に見舞われたハルが孤立から再起する姿を多文化的・魔法的なタッチで描きます。
そのほか、カーク・ジョーンズ監督、ロバート・アラマヨ主演で15歳でトゥレット症候群と診断された青年の実話を描くBAFTA賞3部門受賞作“I Swear”(北米公開:2026年4月24日)、ハイファ・アル=マンスール監督のサウジアラビアロケ・フェミニズム殺人ミステリー“Unidentified”(北米公開:2026年夏)、ペドロ・アルモドバル監督の“Bitter Christmas”(2026年末)、ジョン・タトゥーロ主演の犯罪ドラマ“The Only Living Pickpocket in New York”、サンダンス映画祭の話題作“Gail Daughtry and the Celebrity Sex Pass”(北米公開:2026年7月10日)、ステファニー・アン監督の“Bedford Park”(北米公開:2026年秋)が紹介されました。さらにダニー・ボイル監修『トレインスポッティング』4Kレストア版(北米公開:2026年6月5日)、ジェーン・カンピオン監修『ピアノ・レッスン』4Kレストア版(北米公開:2026年晩夏)も発表されています。
スタジオカナル
アナ・マーシュ氏(CEO:STUDIOCANAL)は、2022年比で世界興収をほぼ3倍に伸ばした実績、年間200本超の劇場作品、Canal+グループによる映画会社UGC株式取得などを報告。ヒュー・スピーリング氏(EVP Global Marketing & Distribution:STUDIOCANAL)が2026年、2027年スレートを発表しました。
アナ・マーシュ氏(CEO:STUDIOCANAL)Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
最大のサプライズは“Ink”(2027年)。ダニー・ボイル監督が登壇し、ジャック・オコンネル(ラリー・ラム役)とガイ・ピアース(ルパート・マードック役)出演の実話ドラマを紹介しました。1969年、英国のタブロイド紙「The Sun」を巡るジャーナリストのラムとオーストラリアからやってきたマードックの出会いを描きます。ボイル監督は「クリックベイトもFox NewsもTwitterもFacebookも存在しない時代に、この二人がThe Sunを作り出した」「ビートルズが解散に向かい、人類が初めて月に降り立ち、そしてこの二人が出会い世界を変えた年だ」と1969年の意味を語り、製作中の冒頭シーン(ロンドンの著名レストランで二人がニュースの「5W」を議論する場面)を披露しました。
ダニー・ボイル監督Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
そのほか、ジュスティーヌ・トリエ監督(『落下の解剖学』)、ミア・ゴス、アリソン・ジャネイ出演の心理スリラー“Fonda”(北米公開:2026年9月)、イーディス・ウォートン原作・シドニー・スウィーニー主演の“The Custom of the Country”(北米公開:2027年)が発表されました。加えてアードマン・アニメーションズとの新作“Shaun the Sheep: The Beast of Mossy Bottom”(北米公開:2026年9月18日/GKIDS配給)、ジャウム・コレット=セラ監督の『クリフハンガー』リブート、イーライ・ロス監督のホラー“Ice Cream Man”(北米公開:2026年8月7日)、過去最大規模のフランス語作品“Les Misérables”、アンドリュー・スコットとオリヴィア・コールマン共演の“Elsinore”(北米公開:2027年)、ベストセラー原作の“The Midnight Library”もラインナップに含まれます。
- 第1回:GKIDS『ゴジラ-0.0』、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
- 第2回:Amazon、NEON、Showcase
- 第3回:ワーナー・ブラザース
- 第4回:ユニバーサル・ピクチャーズ
- 第5回:パラマウント・ピクチャーズ
- 第6回:ウォルト・ディズニー・スタジオ
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