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ワーナー・ブラザース:合併手続き下、新レーベル「Clockwork」立ち上げと『デューン 砂の惑星 PART3』で締めくくる大型ラインナップ〈CinemaCon2026 スタジオラインナップ発表・第3回〉
公開日: 2026/05/01

2026年4月13日から16日にかけて、米ラスベガスにて世界最大級の映画興行ビジネスのコンヴェンション「CinemaCon(シネマコン)」が開催されました。本特集ではCinemaCon2026における各スタジオによるラインナッププレゼンテーションをレポート。第3回は、スカイダンス傘下のパラマウント・スカイダンスによる買収手続きが進行中という業界文脈のなか、4月14日(火)夕方に行われたワーナー・ブラザースのプレゼンテーションを取り上げます。
※本記事で触れられている内容は2026年4月時点の情報です。

ワーナー・ブラザースの買収については、Cinema United(旧NATO:全米劇場所有者協会)のマイケル・オリアリー会長がセッション"State of the Industry"で「統合は劇場向け映画の製作本数減少につながる」と懸念を表明するなど、業界内には反対意見も根強くあります。そのなかでワーナーは2025年世界興行収入40億ドル超の好調を背景に、新レーベル「Warner Bros. Clockwork」の立ち上げを発表。2026年は“Dune: Part Three(邦題:『デューン 砂の惑星 PART3』)”をはじめとする大型ラインナップを揃え、2027年、2028年もフランチャイズ作品の製作が進んでいることをアピールしました。

冒頭、ホストにコメディアン・俳優のパットン・オズワルトを迎え、Warner Bros. Motion Picture Group共同CEOのパメラ・アブディ氏とマイケル・デ・ルカ氏が登壇。続くラインナップ紹介では、トム・クルーズ、ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、サンドラ・ブロック、ニコール・キッドマン、ジェイソン・モモア、J・J・エイブラムスら、現代ハリウッドの主役級スターと作家陣が次々とステージに姿を見せました。

左から『デューン 砂の惑星 PART3』のジェイソン・モモア、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ
Photo by Bryan Steffy/Getty Images for CinemaCon

新レーベル「Warner Bros. Clockwork」始動を発表

プレゼンテーションでパメラ・アブディ氏が発表したのが、新レーベル「Warner Bros. Clockwork」の立ち上げです。同レーベルは「大胆で現代的なストーリーテリング」にフォーカスし、新たなグローバルオーディエンス向けに作品を展開していくと説明されました。第一弾作品として、アカデミー賞受賞監督のショーン・ベイカー(『アノーラ』)が脚本・監督・プロデュースを務めるオリジナル映画“Ti Amo!”を2027年に米公開予定と発表。フランチャイズ大作とは異なる文脈の作品群を、独立したブランドとして劇場に届けていく方針が示されました。

トム・クルーズとイニャリトゥ監督が登壇、新作『DIGGER/ディガー』

左からトム・クルーズ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督
Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon

会場の熱気が一気に高まったのが、トム・クルーズとアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の登壇でした。両者が共に手掛ける新作“Digger(邦題『DIGGER/ディガー』”(北米公開:2026年10月2日)は、イニャリトゥ監督による9年越しの構想を経て実現したオリジナル作品です。

クルーズが演じるディガー・ロックウェルは石油王で、世界を変えはしなかったが、人々の世界の見方を変えた権力者。最悪の決断を下す男の滑稽さと人間の愚かさを描くドラマ/コメディで、ジョン・グッドマン、リズ・アーメッド、ジェシー・プレモンス、マイケル・スタールバーグらが共演します。フィルム(大判フォーマット)で撮影され、劇場専用に設計されている点も強調されました。

イニャリトゥ監督は、7年前にクルーズがバイクで自身を訪ねてきたエピソードを紹介し、「スタントや飛行機のジャンプで知られる恐れ知らずのクルーズにとっても、この役は最も挑戦的なものになるかもしれない」と語りました。クルーズ自身も「この種の映画こそ自分が映画を作りたいと思った理由。40年かけてようやくディガー・ロックウェルのブーツを履けるようになった」とコメント。世界初公開のフッテージが上映されました。

DCスタジオは『スーパーガール』『クレイフェイス』を提示

左からピーター・サフラン氏(Co-Chairman & Co-Chief Executive Officer, DC Studios)、
ジェイソン・モモア、クレイグ・ギレスピー監督、ミリー・オールコック
Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon

DCスタジオからは、共同会長兼共同CEOのピーター・サフラン氏が登壇。『スーパーマン』(2025)の成功への感謝とともに、今後のDCUラインナップを紹介。続編となる“Man of Tomorrow”(ジェームズ・ガン監督、北米公開:2027年7月2日) が翌週に撮影開始されることも発表しました。

Supergirl(邦題:『スーパーガール』)”(北米公開:2026年6月26日/Filmed for IMAX) は、クレイグ・ギレスピー監督による全編オフプラネット展開の意欲作。スーパーガールことカーラ・ゾー=エルをミリー・オールコック、宇宙の賞金稼ぎロボをジェイソン・モモアが演じます。物語は6つの異なる惑星を舞台に、トラウマや困難を乗り越える複雑で立体的な女性ヒーロー像を描きます。スーパードッグの「クリプト」も登場。世界初公開のアクションシーケンスが上映されました。オールコックはクリプトニアン語のセリフのために4カ月半にわたり毎朝1時間のトレーニングを行ったと明かしました。

Clayface(邦題:『クレイフェイス』)”(北米公開:2026年10月23日) は、ジェームズ・ワトキンス監督によるホラー・スリラー。ハロウィン公開で、「ケープを着ず、ボーイスカウトとは程遠い」キャラクターを主人公にすると説明されました。「ジャンルよりキャラクター」というDCスタジオのエートスを体現する作品と位置づけられ、世界初公開のティーザーが上映されました。

多彩なテントポール作品を豪華監督・キャスト登壇で紹介

DCに続いて、ワーナーは2026年公開の主要テントポール作品を、それぞれ豪華な登壇者とともに紹介しました。

Practical Magic 2(邦題『プラクティカル・マジック/魔女たちの秘密』)” (北米公開:2026年9月18日)は、1998年の『プラクティカル・マジック』の続編で、アリス・ホフマンの“The Book of Magic”を原作とするファンタジー・コメディ。スサンネ・ビア監督のもと、サンドラ・ブロックとニコール・キッドマンが煙の演出とともに登壇しました。シングルとなったサリーと2人の成長した娘、叔母として登場するジリアンを軸に、家族の物語が展開します。ストッカード・チャニング、ダイアン・ウィーストも共演。オリジナル版の家がセットとして完全再現されたことに触れ、ブロックは「ノスタルジーではなく『帰郷』の感覚だった」と語りました。キッドマンは姉妹の絆というテーマが世界で共感を呼ぶと述べ、ティーザートレーラーが世界初公開されました。

左からサンドラ・ブロック、ニコール・キッドマン
Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon

The Great Beyond” (北米公開:2026年11月13日)は、J・J・エイブラムスが脚本・監督・プロデュースを兼ねる完全オリジナル作品です。スリラー、ミステリー、ラブストーリー、SFを交えたジャンル横断型作品で、グレン・パウエル、ジェナ・オルテガ、エマ・マッキー、サミュエル・L・ジャクソンが出演。エイブラムス自身が登壇し、「フランチャイズ作品に携わってきた経験を経て、オリジナルストーリーに回帰したいという強い思いから制作した」と語りました。子どもの頃に持っていた驚異と可能性の感覚を取り戻すことが物語の核にあると説明し、編集室以外では世界初公開となるフッテージが上映されました。 J・J・エイブラムス監督
Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon

そのほか、本編プレゼンテーションでは、監督を『イット・フォローズ』のデヴィッド・ロバート・ミッチェル、プロデュースをJ・J・エイブラムスが務め、アン・ハサウェイとユアン・マクレガーが共演するSFミステリー “The End of Oak Street(邦題『オークストリートの異変』)”(北米公開2026年8月14日/IMAX公開予定) も発表されました。

締めくくりは『デューン 砂の惑星PART3』──冒頭7分の映像を世界初上映

プレゼンテーションの締めを飾ったのは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による“Dune: Part Three(邦題:『デューン 砂の惑星 PART3』)”(北米公開2026年12月18日)でした。「デューン」サーガの最終章となる本作は、前作から17年後の世界を舞台に、主人公のポール・アトレイデスが自らの行動と決断の結果に向き合う物語です。

ティモシー・シャラメ(ポール・アトレイデス)、ゼンデイヤ(チャニ)、ジェイソン・モモア(ハイト/ダンカン・アイダホ)、ロバート・パティンソン(Scytale)、アニャ・テイラー=ジョイ(アリア)が出演。前2作とは異なりスリラー要素が強く、アクション重視でペースが速い感情的な作品になると紹介され、IMAX及び全プレミアムフォーマットでの上映が想定されています。

会場では冒頭7分間の映像と予告編が世界初上映され、続いてヴィルヌーヴ監督、シャラメ、ゼンデイヤ、モモアの4名が登壇しました。ヴィルヌーヴ監督は「最初の2作品は自分のために作ったが、この作品はファンのために作った」と語り、10年にわたる「デューン」の旅の終わりにキャストをカメラの前に集めることは感情的な体験だったと述べました。シャラメは「『ロード・オブ・ザ・リング』級のSF三部作に参加できたことはキャリア最大の栄誉」と語り、ヴィルヌーヴを「本当のポール・アトレイデス」「The One」と称えました。

左からパットン・オズワルト、ジェイソン・モモア、ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon

ニュー・ライン・シネマ/アニメーション部門のラインナップ

本編作品に加え、ワーナーはニュー・ライン・シネマやアニメーション部門のラインナップも紹介しました。ニュー・ライン・シネマは2025年に『ファイナル・デッドブラッド』『WEAPONS/ウェポンズ』『死霊館 最後の儀式』の3作品で10億ドル突破を達成しています。

ホラー領域では、リー・クローニン監督による『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』『死霊のはらわた ライジング』に続く“Evil Dead Burn”(北米公開2026年7月10日)が発表されました。アニメーション部門からは、ワーナー・ブラザース初のアニメーション映画として“Cat in the Hat(邦題『キャット・イン・ザ・ハット』)”(北米公開:2026年11月6日/3D)が登場。Dr.スース原作シリーズの新作で、新しいアニメーションロゴも初公開されました。

『キャット・イン・ザ・ハット』のキャラクターシング3号(左)とシング1号(右)
Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon

ゲーム原作映画 『モータルコンバット/ネクストラウンド』も登場

ゲーム原作映画として発表されたのが、“Mortal Kombat II(邦題『モータルコンバット/ネクストラウンド』)”(北米公開:2026年5月8日/Filmed for IMAX) です。ブロックバスター・フランチャイズの最新作として、ジョニー・ケイジが登場するアクションシーンの映像が公開されました。

ゲーム原作映画は他スタジオからも続々と発表されており、ソニー・ピクチャーズが実写版『ゼルダの伝説』、“Helldivers”“Bloodborne”、パラマウントが“Street Fighter(邦題『ストリートファイター/ザ・ムービー』)”を発表するなど、CinemaCon2026全体の傾向としてもゲームIPの存在感は際立っていました。

2027年以降のラインナップと開発中タイトルを提示し閉会へ

その他、2027年、2028年のリリースカレンダーとして、ジャック・ブラックが続投する『マインクラフト/ザ・ムービー』続編(2027)、M・ナイト・シャマランの新作ホラー(2027)、サム・エスメイル監督が手掛けIMAX初のデジタルリリースとして全編1.43:1アスペクト比で上映予定の “Panic Carefully”(2027)、マーゴット・ロビーとブラッドリー・クーパーが主演しクーパー自身が脚本・監督・プロデュースを手掛ける「オーシャンズ」シリーズの前日譚(2027)、シンシア・エリヴォ主演のアニメーション・ミュージカル “Bad Fairies”(2027)、メリッサ・マッカーシー主演のコメディ“Margie Claus”(2027)などが順次紹介されました。ホラー領域では、サム・ライミ監督の“Evil Dead: Wrath”(2028)、ティム・ミラー監督・キアヌ・リーブス主演のサメアクション“Shiver”(2027)を発表。

さらに、ナンシー・マイヤーズ監督の新作(2027年クリスマス公開/キーラン・カルキン、ペネロペ・クルス、オーウェン・ウィルソン、ジュード・ロウ出演)、そして“Lord of the Rings: The Hunt for Gollum”(北米公開:2027年12月17日)、モンスターヴァース最新作“Godzilla x Kong: Supernova”(2027)などが順次紹介されました。マイケル・デ・ルカ氏は最後に「このスレートは映画以上のものを表している。あらゆるフレームにおける卓越性へのコミットメントだ」と表明し、プレゼンテーションを締めくくりました。

左からパットン・オズワルト、パメラ・アブディ氏(Co-Chair & CEO:Warner Bros. Motion Picture Group)、
マイケル・デ・ルカ氏(Chairperson & CEO:Warner Bros. Motion Picture Group)
Photo by Monica Schipper/Getty Images for CinemaCon
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