パラマウント:ワーナー買収手続きの渦中、デヴィッド・エリソン氏が新体制と意欲的ラインナップを披露〈CinemaCon2026 スタジオラインナップ発表・第5回〉
公開日: 2026/05/01
2026年4月13日から16日にかけて、米ラスベガスにて世界最大級の映画興行ビジネスのコンヴェンション「CinemaCon(シネマコン)」が開催されました。本特集ではCinemaCon2026における、各スタジオによるラインナッププレゼンテーションをレポート。第5回は4月16日(木)午前に開催されたパラマウント・ピクチャーズのプレゼンテーションを取り上げます。
※本記事で触れられている内容は2026年4月時点の情報です。
ワーナー買収手続き最中のDavid Ellison氏が登壇、決意と新体制を紹介
パラマウントのプレゼンテーションは、ワーナー・ブラザースとの統合手続きが進行中という異例のタイミングでの開催となりました。冒頭に登壇したデヴィッド・エリソン氏(Chairman & CEO:Paramount Skydance) は、スカイダンス・メディア(Skydance Media, LLC)を2010年に創業して以来の劇場ビジネスへの関わりを振り返りつつ、「Long Live the Movies」と表明。劇場関係者の前に直接立ち、コミットメントを伝えるために登壇したと語りました。
デヴィッド・エリソン氏(CEO:Paramount Skydance)Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
続いて、新生パラマウント・ピクチャーズの指揮を担うダナ・ゴールドバーグ氏(Co-Chair of Paramount Picture and Chair of Paramount Television) とジョシュ・グリーンスタイン氏(Co-Chair of Paramount Pictures and Vice Chair of Platforms)が登壇し、両氏ともに幼少期の映画館体験が原点であると話しました。また、パラマウントの製作を担う主要なクリエイター陣として、ジョン・M・チュウ監督、ダファー兄弟(マット&ロス・ダファー氏)、ジェームズ・マンゴールド監督、イッサ・レイ氏、ダン・トラクテンバーグ氏、ウィル・スミス氏らを紹介しました。
併せて、新体制を担うリーダーシップチームとして、ジョシュ・ゴールドスタイン氏(President:Global Marketing & Distribution)、マーク・ヴィアン氏(President:International Theatrical Distribution)、ドン・グレンジャー氏(President:the Motion Picture Group)、リア・ブーマン氏(Head:Global Acquisitions and Republic Pictures)、ジェニファー・ドッジ氏(Head:Paramount Animation and Theatrical Experience)を発表。加えて、新ジャンルレーベルである「ボルダーライト・ピクチャーズ」をリードするJ・D・リフシッツ氏とラファエル・マーグリス氏らを紹介しました。
さらにショーン・バーバー氏(President:Domestic Theatrical Distribution)が登壇し、興行会社との連携強化と観客体験の向上を呼びかけました。
左からダナ・ゴールドバーグ氏(Co-Chair of Paramount Picture and Chair of Paramount Television)ジョシュ・グリーンスタイン氏(Co-Chair of Paramount Pictures and Vice Chair of Platforms)
Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
人気IP作品をアニメ、ファミリー、ゲーム原作と幅広く紹介
ラインナップ発表では、ファミリー向けアニメから人気ゲーム原作の実写化、シリーズ最新作まで、幅広い層を狙ったIP作品が並びました。
“PAW Patrol: The Dino Movie(邦題『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』)”(北米公開:2026年8月14日)
パラマウント・アニメーション製作の人気アニメシリーズ『パウ・パトロール』の最新作。ダイノ・アイランドを舞台にした冒険物語で、マッケナ・グレイス、ジェニファー・ハドソン、声の出演でスヌープ・ドッグが参加するほか、バックストリート・ボーイズによる新曲も提供されます。フッテージが上映されました。
“The Angry Birds Movie 3”(仮題、北米公開:2026年12月23日)
ロビオ・エンタテインメントとセガ製作によるシリーズ3作目。子育ての日常を描くコミカルな内容で、フッテージが上映されました。
“Scary Movie 6”(北米公開:2026年6月5日)
R指定コメディ/ホラーパロディの『絶叫計画』シリーズ最新作。特別映像が披露され、登壇したキャスト陣は「R指定コメディが興行で成功しない」という風説を一蹴しました。映画公開による多岐にわたる「謝罪」対象をユーモラスに列挙してみせ、興行パートナーへの謝意も忘れずに織り込みました。
“Street Fighter(邦題:『ストリートファイター/ザ・ムービー』)”(北米公開:2026年10月16日)
レジェンダリー・エンターテインメントとの3年グローバル配給契約のもと、カプコンの格闘ゲーム『ストリートファイター』の実写映画化が実現。1993年のシーザーズ・パレスでのトーナメントを舞台にした作品で、世界初公開トレーラーが上映され、キャスト陣もコミカルなやり取りで作品を紹介しました。
左からアンドリュー・小路(リュウ役)、ノア・センティネオ(ケン役)、コーディ・ローデス(ガイル役)、デヴィッド・ダストマルチャン(M・バイソン役)
Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
“Mr. Irrelevant: The John Tuggle Story”(北米公開:2026年クリスマス公開)
スカイダンス・スポーツ作品。1983年、NFLドラフトで最下位指名の人物に与え得られる「ミスター・イレレバント」になったジョン・タッグル選手が、ニューヨーク・ジャイアンツで「Special Teams Player of the Year」に選ばれるまでの実話を描くスポーツ伝記ドラマです。タッグル役にはDC映画『スーパーマン』で主役を務めたデヴィッド・コレンスウェットが起用されました。
会場では、第21回スーパーボウルMVPのフィル・シムズが登壇。1983年にタッグル選手と出会った体験やビル・パーセルズ元コーチとの思い出を語り、コレンスウェットがタッグルの精神を体現していると称賛。コレンスウェット自身もビデオメッセージで登場し、フィラデルフィア出身としてジャイアンツのジャージを着る葛藤を冗談交じりに語りつつ、「最も長く残るものは名前ではなく、人々への影響である」というタッグル選手の物語の意義を強調しました。
フィル・シムズPhoto by David Becker/Getty Images for CinemaCon
“Jackass: Best and Last”(北米公開:2026年6月26日)
『ジャッカス』シリーズ25周年を記念する「最後で最高」の作品。ジョニー・ノックスヴィルが登壇し、これが最後のジャッカス作品であることを発表。「特別に頑張った」ベスト作品にするために取り組んだと語りました。
ジョニー・ノックスヴィルPhoto by David Becker/Getty Images for CinemaCon
映像スペクタクルから意欲作まで、注目の劇場特化作品を披露
IPものに加え、劇場でしか味わえない映像体験を志向した意欲的な作品群も紹介されました。
“Billie Eilish: Hit Me Hard and Soft - The Tour Live in 3D(邦題『ビリー・アイリッシュ – HIT ME HARD AND SOFT : THE TOUR (LIVE IN 3D)』)”(北米公開:2026年5月8日)
ジェームズ・キャメロン監督とビリー・アイリッシュが登壇。単なるコンサートストリーミングではない新しい劇場体験を創出したと紹介しました。キャメロン監督が率いるライトストーム・ビジョンは、新世代3Dカメラシステムを開発。800mmの特殊望遠レンズや、たばこケースの半分のサイズのミニ3Dカメラを駆使してステージ上からの親密な視点を実現したと説明しました。アイリッシュの『Hit Me Hard and Soft』ツアーの最終公演を捉えた本作は、Dolby Vision 3DおよびDolby Atmosでの特別拡張映像として上映されました。
左からビリー・アイリッシュ、ジェームズ・キャメロン監督Photo by David Becker/Getty Images for CinemaCon
“Ebenezer: A Christmas Carol”(仮題、北米公開:2026年11月13日サンクスギビング公開)
タイ・ウェスト監督によるチャールズ・ディケンズの古典の新解釈。ホラー要素を引き出した作品で、エベネーザ・スクルージ役にはジョニー・デップが起用されました。ウェスト監督は幼い頃から本作をホラー・ストーリーとして愛読してきたと語り、デップに最初に声をかけた際にも、彼が幼少期にアラステア・シムがスクルージを演じた作品に感銘を受けた同じ「熱意」を持っていたと判明したエピソードを紹介。デップ氏自身も登壇し、シムの演技に並ぶことの難しさを認めつつも、異なる角度からスクルージに挑む意義を語りました。クリップが上映されました。
ジョニー・デップPhoto by David Becker/Getty Images for CinemaCon
“Heart of the Beast”(北米公開:2026年秋)
デヴィッド・エアー監督、デイミアン・チャゼルとオリヴィア・ハミルトンが製作を務めるサバイバル・スリラー。ブラッド・ピット主演で、アラスカの荒野を舞台に、自然の容赦ない力の前で男と犬の不屈の絆を描きます。フッテージが上映されました。
“K-Pop Super Star: The Movie”(北米公開:2027年2月)
BTSやSEVENTEENを擁するHYBEとの提携作。家族に反発して世界のベストパフォーマーと競い合い、次のK-Popセンセーションを目指す韓国系アメリカ人少女の成長物語で、韓国で全編撮影され、韓国系アメリカ人俳優が主演を務めます。フッテージが上映されました。
“Children of Blood and Bone”(北米公開:2027年1月15日)
締めくくりとして本作を紹介。『ウーマン・キング 無敵の女戦士たち』のジーナ・プリンス=バイスウッド監督によるトミ・アデイェミのベストセラー小説の映画化で、イドリス・エルバ、キウェテル・イジョフォー、レジーナ・キング、ヴィオラ・デイヴィス、シンシア・エリヴォという豪華キャストが顔を揃えるファンタジー/アクション大作です。イジョフォーとキングが登壇し、魔法、スペクタクル、アクションに満ちた壮大なファンタジーとしてフッテージが披露されました。
レジーナ・キングPhoto by David Becker/Getty Images for CinemaCon
その他、ビデオで紹介された強力IP作品群
このほか、ビデオメッセージ形式で複数のIP作品が紹介されました。“Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem 2”では、製作陣のセス・ローゲン、エヴァン・ゴールドバーグ、ジェームズ・ウィーバーがビデオ出演し、フランチャイズの来年劇場公開と、新キャラクターのシュレッダー、クランゲの登場を予告。“A Quiet Place Part III”ではジョン・クラシンスキー監督が現場からビデオメッセージを送り、プリプロダクションの進行を報告。エミリー・ブラント、キリアン・マーフィー、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュープが再結集し、ジャック・オコンネル、ジェイソン・クラーク、ケイティ・オブライエンが新たに参加することが発表されました。“Call of Duty”(北米公開:2028年夏)では監督のピーター・バーグが、脚本家テイラー・シェリダンとの執筆体制と、特殊作戦コミュニティへの深い関わりから人間的なレベルでの真正性を確保する方針を表明しました。
このほか、概要として『トップガン マーヴェリック』続編(トム・クルーズ、ジェリー・ブラッカイマー監督再結集)、ジェームズ・マンゴールド監督・ティモシー・シャラメ主演“The High Side”、デイミアン・チャゼル監督新作(出演:キリアン・マーフィー、ダニエル・クレイグ、ミシェル・ウィリアムズ)、パーカー・フィン監督“Possession”、オズ・パーキンス監督による『ロングレッグス』新作、ロバート・ロドリゲス監督・脚本・製作“The Naughty List”、ジェームズ・ワン監督による『悪人伝』リメイク(北米公開:2027年)などが言及されました。
ワーナーとの統合という大きな構造変化を控えるなかで、デヴィッド・エリソン氏率いる新生パラマウントが、IPフランチャイズと意欲的な劇場特化作品の両輪でラインナップを大幅に拡大しようとしている姿勢が、今回のプレゼンテーションでは鮮明になりました。ショーン・バーバー氏は閉会の挨拶で「Future of movie is bright. We are all in, long live the movies(映画の未来は明るい。我々は全力で臨む。映画よ永遠なれ)」と宣言。今後の作品群が興行の現場でどのような結果を残すのか、注目が集まります。
- 第1回:GKIDS『ゴジラ-0.0』、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
- 第2回:Amazon、NEON、Showcase
- 第3回:ワーナー・ブラザース
- 第4回:ユニバーサル・ピクチャーズ
- 第5回:パラマウント・ピクチャーズ
- 第6回:ウォルト・ディズニー・スタジオ
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