TOHO Globalほか主要コンテンツ企業の最新グローバル展開動向~TIFFCOM2025
公開日: 2025/11/13
「第38回東京国際映画祭」が10月27日から11月5日にかけて開催されました。本特集では、併設マーケット「TIFFCOM(会期:10月29日~31日)」で行われた、コンテンツビジネスの最新動向を伝えるセミナーをレポート。第3回では、セミナー「日本のアニメ―ションの海外展開戦略最前線」で共有されたTOHO Globalほか日本アニメの海外展開を牽引する主要企業のグローバル展開事例を紹介します。
※本記事で触れられている内容は2025年10月時点の情報です。
- TOHO Global:海外子会社の独立性を担保した現地でのマーケティング
- バンダイナムコフィルムワークス:IPのマルチメディア展開とグローバル認知度向上
- STUDIO4℃:オリジナル作品の自社配給による世界展開
TOHO Global:海外子会社の独立性を担保した現地でのマーケティング
日本動画協会によるアニメ産業市場規模の発表に続き、セミナーの後半には、日本のコンテンツ産業を支える主要企業の代表が登壇し、グローバル展開のための独自戦略を共有しました。
TOHO Global株式会社の中澤貴昭取締役
TOHO Global株式会社の中澤貴昭取締役は、海外市場拡大に向けた体制強化と戦略について説明しました。中澤氏によると、同社は北米市場を最優先で開拓しており、2023年には実写映画『ゴジラ-1.0』の北米配給を自社で実施し、北米における邦画実写作品の興行収入で歴代1位の記録を樹立しました。「レジェンダリー・ピクチャーズ版の『GODZILLA ゴジラ』との差別化を意識し、北米版ポスターに日本語を残すアイデアを起用したほか、イラストバージョンのポスターを作成するなど、現地のニーズをクリエイティブに反映することを徹底しました」と『ゴジラ-1.0』の北米ヒットへの道のりを語りました。
さらに、アニメの海外展開については、2024年にアカデミー賞ノミネート実績を多数持つ北米のアニメ映画配給会社GKIDSをグループに加えたことを言及。同社の北米における独自のマーケティング手法を信頼し、現地の判断を尊重する方針を重視していると明かしました。「Anime Expoやサンディエゴ・コミコンでは、GKIDS主導で建てられたブースが北米ファンの間で大変好評でした」とし、海外子会社の独立性を担保することが海外市場での成功につながることを強調しました。そして、今後欧州やそのほかの地域への拡張も目指しており、そのために多様なジャンルに特化した人材の起用や、現地マーケティングを担う協力企業とのパートナーシップ、M&Aを積極的に行っていくと述べました。
バンダイナムコフィルムワークス:IPのマルチメディア展開とグローバル認知度向上
株式会社バンダイナムコフィルムワークスの小形尚弘取締役は、まもなく50周年を迎える『ガンダム』の海外展開について語りました。同氏は、ガンダムの強みは“映像作品”だけでなく、ガンプラ、ゲーム、立像などの“リアル体験”が両輪となってIPを支えている点にあると分析。
同時に、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の先行劇場版が世界37カ国で公開、アニメ放送版がPrime Videoにて240以上の国と地域で配信されるなど海外展開が進む一方、日本・アジアに比べて北米・欧州での認知度が低い点に課題があると指摘。その解決策として、現在レジェンダリー・ピクチャーズとハリウッド実写版を共同開発中であることを明かし、2025年4月に設立したバンダイナムコフィルムワークスアメリカ合同会社を拠点にワールドワイドでのライセンス最大化を目指すという方針を示しました。また、同社の2023年度の売上の約75%が国内となりますが、2030年には海外と国内の割合が半々になることを目指すとし、そのために映像、商品、体験すべてを連動させて世界市場を本格的に開拓していくと訴えました。
STUDIO4℃:オリジナル作品の自社配給による世界展開
STUDIO4℃の田中栄子代表取締役社長
アニメ制作会社STUDIO4℃の田中栄子代表取締役社長は、自身がスタジオジブリ時代に担当した『となりのトトロ』『魔女の宅急便』のラインプロデューサーの経験をもとに、同スタジオを設立。そして、創業当初から「日本から世界にターゲットを向けた作品を作る」というコンセプトで制作してきたと述べました。田中氏は「過去、多くの制作会社が海外展開を現地の配給会社に一任していた時代から、各国と個別交渉を続けて、ライセンスをするという方法を採ってきました」と説明。その結果、同スタジオの最新作『ChaO』は、映画館での公開を条件とした20カ国でのライセンス契約が成立。また、仏アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門で審査員賞を受賞したほか、世界25カ所の映画祭で受賞、招待を受けていると報告しました。
本セミナーでは、「新たなクールジャパン戦略」で掲げられている、日本のエンタメ・コンテンツ産業の海外市場規模を2033年までに20兆円に成長させる目標を達成するうえで、主要エンタテイメント企業が進めるグローバル戦略が共有されました。『ガンダム』のマルチメディア展開のように、今後は単なる映像コンテンツの輸出に留まらず、IPの複合的なライセンス戦略が20兆円達成のカギになると示唆されました。今後、北米に限らず様々な地域のニーズを正しく理解するためにも、映像・体験・グッズと多様なメディアに特化した海外パートナー企業との提携がますます求められます。
取材・文 李錦香
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