大ヒット『ラストマイル』は女性20代がけん引、公開後も鑑賞意向の高さが際立つ~「シネマ鑑賞者スコープ」で夏のヒット映画9作品を研究
公開日: 2024/11/07
GEM Partnersは、映画宣伝のための過去作品研究ツール 「CATSシネマ鑑賞者スコープ」を10月18日にリリースいたしました。本ツールは、劇場公開された映画の鑑賞者データを様々な角度から研究できるオンラインツールで、作品鑑賞者はもちろん、「作品を認知しているが観てない人」の属性やその理由も把握できるのが特徴です。
今回、本ツールを用いて2024年の7月~8月に公開された夏映画の鑑賞者データを比較。特にオリジナル脚本ながら興行収入50億円を超える大ヒットを記録している『ラストマイル』の特徴を同時期公開作品と比較して捉えました。対象作品は、7月から8月に公開され、初週金土日興収2億円以上を記録した9作品です。
- 【性別・性年代別構成比】
『ラストマイル』は女性比率TOP、男性比率TOPは『ぼっち・ざ・ろっく!』 - 【満足度・続編鑑賞意向】
『キングダム』『ラストマイル』が満足度TOP2、約7割が「満足」と回答 - 【観た理由】
監督・キャスト好きが劇場に足を運んだ『ラストマイル』
鑑賞意向の醸成に成功した『キングダム』『ヒロアカ』『ぼっち・ざ・ろっく!』 - 【観たくならなかった理由】
出演者の好みが二極化した『ラストマイル』
ジャンルの好みが二極化した『僕のヒーローアカデミア』 - 【観たかったが、観ていない理由】
公開5週目でも鑑賞意向が高い『ラストマイル』
【性別・性年代別構成比】
『ラストマイル』は女性比率TOP、男性比率TOPは『ぼっち・ざ・ろっく!』

『ラストマイル』は比較作品のなかで女性割合が最も高く、『インサイド・ヘッド2』と並んで65%以上となりました。性年代別にみると、『ラストマイル』は20代女性の割合が他作品と比べても特に高いことが分かります。一方、男性割合が高いのは、約70%に達している、『デッドプール&ウルヴァリン』『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』の2作品。『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』は、20代男性のみで30%近い割合に達しているのも特徴です。
【満足度・続編鑑賞意向】
『キングダム』『ラストマイル』が満足度TOP2、約7割が「満足」と回答

次に、鑑賞者の「満足度」「続編鑑賞意向」を作品別に見ると、「満足度」で<満足>と回答した割合で最も多かったのは『キングダム 大将軍の帰還』の76%、次いで『ラストマイル』の69%となりました。<満足>+<少し満足>でみると、『キングダム 大将軍の帰還』『インサイド・ヘッド2』『ラストマイル』の順になります。
続編鑑賞意向に関しても<絶対映画館で観る>、<絶対映画館で観る>+<映画館で観たい>の双方で『キングダム 大将軍の帰還』がTOPとなりました。
【観た理由】
監督・キャスト好きが劇場に足を運んだ『ラストマイル』
鑑賞意向の醸成に成功した『キングダム』『ヒロアカ』『ぼっち・ざ・ろっく!』

作品別の「観た理由」をみると、『ラストマイル』は「俳優・女優/声優が良かった」が平均を大きく上回っており、キャストへの期待の高さが伺えます。また、TVドラマ『アンナチュラル』『MIU404』と世界観を共有する作品であり、本作の塚原あゆ子監督が両ドラマの演出を手掛けています。『ラストマイル』は「監督が好き」の項目でも平均値を上回っており、ほかの作品と比べても監督が鑑賞の決め手となっているようです。
他作品の動きをみると、「気軽に楽しめそうだった」では、『もしも徳川家康が総理大臣になったら』が30%超え。コメディ色の強い作品であるため、その訴求に成功したと思われます。また、「原作・前作・史実が好き/原作・前作・史実が有名」では、『キングダム 大将軍の帰還』『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』がいずれも平均を上回る30%超えを記録。いずれもシリーズ作品であり、前作・原作できっちりと鑑賞意向の醸成に成功していることが分かります。
【観たくならなかった理由】
出演者の好みが二極化した『ラストマイル』
ジャンルの好みが二極化した『僕のヒーローアカデミア』

作品別の「観たくならなかった理由」の「出演者(俳優・女優)に興味を引かれなかった」において、『ラストマイル』は平均値を上回りました。本作は「観た理由」の「俳優・女優/声優が良かった」でも平均以上の値を獲得していたことから、出演者への好みが二極化していることが推測されます。
同様に「好きなジャンルの作品ではなかった」では、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』が高い値となりました。本作は「観た理由」の『好きなジャンルの作品だった」でも40%を上回る高い値を記録しており、こちらはジャンルの好みが二極化していることが分かります。
そのほか、多くの作品で「DVDや配信・TV放映などになって観ようと思った」が平均値を上回りました。劇場鑑賞はしていないものの、作品への興味・関心が高い層が多くいるため、彼らに対する劇場鑑賞施策が求められます。
【観たかったが、観ていない理由】
公開5週目でも鑑賞意向が高い『ラストマイル』

作品別の「観たかったが、観ていない理由」では、「まだ観ていないが、今後映画館でみるつもり」の項目で公開5週後に調査した『ラストマイル』が41.7%と大きな値となりました。

調査タイミングにより、本項目は差がでます。そのため、『ラストマイル』と同じ公開5週後調査で、初週金土日興収2億円以上の作品に絞って比較してみました※。すると上記のように『ラストマイル』は1位を獲得しており、調査タイミングが同じ作品でも鑑賞意向が過去最も高い結果となりました。本作はすでに興収50億円を突破し、大ヒットを記録していますが、今後のさらなるヒットも期待されます。※2014年12月以降の劇場公開映画、金土日興収は推計値含む
以上、『ラストマイル』を中心に今夏のヒット作品を鑑賞者データから振り返ってみました。一口にヒット作品といっても、鑑賞者属性や鑑賞理由、非鑑賞理由は様々。このように複数作品の鑑賞者データを並べてみることで、各作品の特徴がより浮き彫りになりました。
*
「シネマ鑑賞者スコープ」では、鑑賞者データの閲覧はもちろん、類似、競合作品を発見するサポート機能が充実しています。類似、競合作品を研究することで、その傾向をつかみ、新作の宣伝戦略立案に活かすことが可能です。詳細に関してはぜひお問い合わせください。
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