ハリウッド式から脱却したビジネスモデルのパワー【特集】ハリウッド式から脱却したヒットの仕組み~エンジェル・スタジオ成功の裏側(後編)
公開日: 2024/01/19
米ロサンゼルスで行われた「Variety Entertainment & Technology Summit 2023」にて9月21日、米映画界で話題のインディペンデント映画スタジオ、エンジェル・スタジオ(Angel Studios)のエグゼクティブたちが、インディペンデント・フィルムメイキングの新たなかたちについて語ったパネルディスカッション「Angel Studios: A New Opportunity for Independent Filmmakers」の様子をレポートします。
※本記事で触れられている内容は2023年9月時点の情報です
マット・ドネリー(Matt Donnelly)
Variety:シニア・エンタテイメント&メディア・ライター
パネリスト
ジャレッド・ギーシー(Jared Geesey)
エンジェル・スタジオ(Angel Studios):グローバル配給部門シニアバイスプレジデント
ニール・ハーモン(Neal Harmon)
エンジェル・スタジオ(Angel Studios):共同創始者兼CEO
後編は、エンジェル・スタジオ(Angel Studios)のエグゼクティブたちが、エンジェル・ギルド(Angel Guild)の企画承認プロセスの核となる“トーチ”や、求めているストーリー、今後の展開について話しました。
グリーンライト・プロセスの核となる“トーチ”
エンジェル・スタジオ(Angel Studios)の企画承認プロセスでは、従来のハリウッド式である脚本ピッチなどの代わりに、“トーチ(たいまつ)”と呼ばれる5分以上のコンセプト映像を活用しているといいます。
ジャレッド・ギーシー氏はその活用方法について、「トーチは、完成作品をイメージできるコンセプト・リールのようなもので、エンジェル・ギルドのグリーンライト(企画を承認し、ゴーサインを出すこと)プロセスの核となるもの。劇場公開を目指す作品のトーチや完成した長編映画があれば、それらをギルドのメンバーに見せます。それによってギルドは、映画製作者のビジョンを把握し、そのストーリーをエンジェルが市場に送り出すべきかどうかを判断するのです」と述べました。
続けて、こうしたコンセプト映像を“トーチ”と呼ぶ理由について、ニール・ハーモン氏が明かしました。「映画館でエンジェル・スタジオの映画が上映される際、赤銅色のロゴと、酸化銅の背景が目に入ると思います。これは自由の女神にちなんだもの。実は、自由の女神がクラウドファンディングによるプロジェクトだったことは、あまり知られていません。フランスの芸術家フレデリック・バルトルディが、まず何とかトーチを作るのに必要な資金をかき集め、そのトーチとともに、ヨーロッパ中と米国中を周り、資金を集めて像を作ったのです。歴史上最も素晴らしいこの芸術品は、群衆の力によって完成したのです」。
作品を推すパワーとクリエイターへのメリットを併せ持ったビジネスモデル
ハーモン氏は、エンジェル・ギルドの会員皆が作品を推すことのパワーとメリットについて語りました。「例えば、私の家から数ブロック先にある通りは、以前は賃貸物件ばかりだったので、芝生は枯れ、老朽化した窓や壊れた車だらけでした。そこに15年ほど前から、ひと家族、またひと家族と引っ越してきて、通りが見違えるように生き返りました。その通りに住む皆が、持ち家を大切にしているからです。今の映像ビジネスの問題のひとつは、視聴者が配信プラットフォームから作品をただ“レンタル”し、フィルムメイカーはコンテンツをプロデュースするためにただ“レンタル”されているということ。同社のモデルでは、全員が出資者となり、勝ちも負けもともに経験します。今のところ、私たちは勝ち続けていますが」。
さらに、歴史的な米スタジオ側と俳優組合のストライキに触れ、……(以下、会員限定記事にて掲載)
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