変化の大渋滞のなか、人々が映画館に求める不変の価値に注視
公開日: 2020/04/24
新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が全国に拡大され、シネコン・劇場が休館となるなか、ランキング集計は当面発表されないこととなった。新作公開に加えて撮影・制作も延期が相次ぐ。映画産業は日々刻々と状況が変化し、直近では「先行きが読みにくい」ことだけが変わらなくなった感がある。
映画鑑賞者に関するマーケティング調査からも劇場鑑賞の意向は低下していることがうかがえる。宣伝活動も止まり、メディアで映画作品に触れる機会も減っている。
一方、Amazonプライム・ビデオやNetflixなどの「在宅」での映像視聴方法として定額制動画配信サービスの認知率や利用率は高まっている。
今後も変化の大渋滞である。自粛解除となった際に、映画館で見ることへの人々の意識はどう変わっているか。新作はどのように公開されるか。人々の安全保持のために劇場の運営はどう変わるだろうか。
一方、変わらないことへの注視も重要だ。人々が本質的に映画館に求めている価値に変化はない。街に出掛けて、話題の作品を友人と見ること、日常を忘れて物語の世界観に没入すること、大好きなキャラクターを大画面・大音響で楽しむことの価値などは変わらないだろう。新たな施策が必要かもしれない。しかし、人々にとって映画館で映画を見ることのきらめきは変わらないはずだ。
映画鑑賞は習慣性のある消費行動なので、足が遠のくと戻ってきにくい人もいるかもしれない。映画以外の新しい楽しみも増えるだろう。しかし、得られなくなると飢餓感が増すのも人間だ。動画配信サービスで映画を楽しむ一方で、より映画館が恋しくなる人もいるだろう。
状況が沈静化し、素晴らしい音響、大画面で物語に没入できる日が待ち遠しい人も多いはずだ。変化と不変のなか、映画館に再び明かりがともる日を心待ちにしたい。
(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載
◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『映画館の価値は不変』(毎日新聞2020年4月24日 東京夕刊)
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