第4章 浸透度の経年変化から判明した“今”最も重要な指標
公開日: 2020/04/13
“今”最も重要な指標
「CATS」データの重要な指標である認知、意欲、意欲/認知に焦点を絞り、有用性を紐解くコラムの第4章。今回は、認知と意欲/認知の経年変化を多面的に追いました。宣伝戦略におけるデジタル活用が引き起こした指標の変化を分析することで、今、本当に重視すべき指標に迫ります。
意欲/認知の経年変化
近年、デジタル活用の進展を背景とした宣伝手法の変化など、作品を取り巻く環境は以前とは大きく異なってきています。変化の激しい状況のなか、意欲/認知の上昇幅は経年でみるとどのように推移しているのでしょうか。
(意欲/認知の初期値)=(公開12前週から10週前の意欲/認知の平均値)
(意欲/認知の公開時付近の値)=(公開2週前から公開週の意欲/認知の平均値)
(意欲/認知の増減値)=(意欲/認知の公開時付近の値)ー(意欲/認知の初期値)※
※単純に公開週の意欲/認知と公開12週前の意欲/認知の差にしない理由は、データ聴取を標本調査で行っており、特定週の値に限定していまうと統計誤差が出やすいため
上記は「意欲/認知の増減値」の推移を表したものです。2010年は平均して約1.4%上げることができていましたが、その後徐々に上げ幅は減り、2019年になるとほぼ0%になっています。これは作品全体の意欲/認知の減少を意味するのでしょうか? その結論を出す前に、下記「意欲/認知の初期値」の推移をご覧ください。
ご覧のように、上記「意欲/認知の初期値」推移は、明らかに増加傾向となっています。つまり、「意欲/認知の増減値」の減少は、全体的な意欲/認知の値の低下を意味しているわけではなく、各作品の意欲/認知を高めるタイミングが早くなってきているということなのです。
実際、上記「意欲/認知の公開時付近の値」を見ても、公開週付近の意欲/認知は高まってきています。これは様々な要因が考えられますが、その一つがSNSの普及です。SNSの活用により、早いタイミングから情報が出回り、初期段階で意欲が形成されやすくなっているという環境変化が考えられます。そのほか、認知の獲得が難しくなってきている昨今において、より効率的に意欲/認知を獲得しはじめた宣伝サイドの戦略的意図などが理由として推察されます。
認知の経年変化
認知についても、意欲/認知と同様の分析をしました。
(認知の初期値)=(公開12前週から10週前の認知の平均値)
(認知の公開時付近の値)=(公開2週前から公開週の認知の平均値)
(認知の増減値)=(公開週の認知)ー(認知の初期値)※
※認知は公開直前のブレ幅が小さいため、増減値は上記の式で計算しています
「認知の増減値」の推移は、上記のようになりました。意欲/認知と同様に近年、上昇幅は徐々に小さくなっており、認知の上昇が難しくなってきていることが見てとれます。
一方、「認知の初期値」の推移は上記となりました。「認知の初期値」が「意欲/認知の初期値」のように高まっていれば問題ないのですが、ここ最近は横ばいで推移しており、上昇傾向はみられません。
さらに上記「認知の公開時付近の値」の推移をみると、徐々に減少しており、公開週に向けた認知の獲得が難しくなっていることがこのデータでも改めて確認できます。
第2章で、意欲を高めるには、認知、または意欲/認知を高める必要があるとご説明しました(「意欲」=「意欲/認知」×「認知」)。しかし、今回ご紹介したように昨今、認知の獲得が難しくなってきています。そこで、重要になってきているのが、意欲/認知ということになります。次章では意欲/認知が上がった作品にはどのような傾向があったのかをご紹介。成功パターンを分析いたします。
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