第2章 認知と意欲が興行収入に及ぼす影響~「意欲/認知」の理解で“攻めの宣伝戦略
公開日: 2020/02/21
「CATS」データの重要な指標である認知、意欲、意欲/認知に焦点を絞り、事例を交えつつ紐解いていくコラムの第2章。今回は、認知と意欲に注目し、これら2つの指標と興行収入(以下、興収)の関係とともに、意欲の違いがどの程度興収に影響を与えるのかについて分析していきます。
認知と意欲、初週土日興収と相関が強いのは?
前回、興収と最も相関が強い指標として意欲をご紹介しました。では、映画が公開された初週の土日興行収入(以下、初週土日興収)に関してはどうでしょうか。以下に認知と意欲をそれぞれ初週土日興収と比較した散布図を掲載いたしました。洋画実写(オレンジ)、邦画実写(青)で切り分け、それぞれ縦軸に初週土日興収、横軸に公開週の認知、意欲をとった散布図になります。近年は金曜日公開が主となりましたが、本コラムでは過去作品も含めた分析となるため土日ベースとしました。また、ここでは実写のみをご紹介していますが、アニメでも結論は同じです。
散布図から、認知よりも意欲のほうが、初週土日興収との相関が強いことが分かります。事実、初週土日興収に対する各指標の相関係数は以下の様になっており、特に邦画においては直近特に相関が高まっていることが見て取れます。
意欲1%の違いが興収に及ぼす影響
意欲と初週土日興収の散布図から、全国規模公開作品の場合、意欲が1%異なると初週土日興収がおおよそ1億円弱異なるということが読み取れます。最終興収は、平均的に初週土日興収の5~7倍になることが多くなっています。そのため、意欲1%の違いは、最終興収への影響として5億~7億円程度の差を生み出すといえます。
このように意欲は興収を伸ばす上で非常に重要な指標です。ここで、前回ご紹介した意欲の値を導く計算式を思い出してみましょう。
興行収入を伸ばすには、意欲を持ち上げる必要があり、そのためには認知か意欲/認知、またはその両方を高めれば良いということになります。ただし、認知は露出量に大きく依存し、公開直前に高まる傾向があります。そこで、次章は「公開12週前から興収が見える? 意欲/認知の特徴的な性質」と題し、早いタイミングで作品の位置づけが評価できる意欲/認知に注目。『名探偵コナン』シリーズの値を用いて、分析をおこないます。
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