コンテンツの消費のされ方が変わりつつある中での今後の展望
公開日: 2017/09/01
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DCエンターテイメント・イルミネーションのマーケッターが語る「グローバル・フランチャイズの成功の掟」の5回目です。
締めくくりのテーマとして、今後の展望:コンテンツの消費のされ方が変わりつつある中でどう進化するか?という問いが投げかけられました。
(スピーカーやセッションの概要は、連載1回目「フランチャイズのグローバル展開は狙えるか?」をご覧ください)
IPの変化よりも早く、商品と消費者との接点に変化
マイケル・アウウィリーン(カートゥーンネットワーク)
キャラクターとストーリーの展開、商品がどの売り場に並ぶか、商品としてどう成立させられるかということにおいて、ここ数年で、エンターテインメント業界のオーディエンスとの接し方が急速に進化したと思います。たとえば、小売店は男女別でない棚づくりをしているように聞いています。エンタテイメント消費の嗜好は性差ではなく、個人差の話だと思います。
一方で、具体的なIPの表現がそこまで急速に進化したかどうかわかりません。それが現実だと思います。あるIPの表現をどうすればいいかは、オーディエンスが、子どもたちが、世界が教えてくれると思います。我々の考え方も進化する必要がありますがそれが思ったほど早く進んでいないようです。
プラットフォームをまたぐコンテンツ消費を想定し、展開における即時性がますます重要になる
マニュエル・トーレス・ポート(NBCユニバーサル)
私は、コンテンツの消費のされ方が今大きく変わりつつあると思います。あるコンテンツが別のプラットフォームにどのようにしてどれだけ早く移るかは、近い将来大きな変化を余儀なくされるものの一つだと思っています。配給・流通のタッチポイントにいつ対応し、どれだけ対応を続けるのかなどですね。これが非常に重要だと考えています。
また、これとは別に、小売市場の様相も大きく変貌しており、短期間にeコマースの存在感が高まったように感じています。それは決定に要する時間、生産キャパ、流通、ほかのあらゆる要素に影響を及ぼし、またそれら要素相互の関連も強まっています。それが手持ちの資産をどのように配分するかなどの「プランニング」をも大きく変えているのです。
サイモン・ウォーターズ(ハズプロ)
最初のポイントについては同感です。予測とまでは言いませんが、eコマースや商業とエンターテインメントがどこで交わるかを考えると、それは今後フランチャイズの見方を大きく変えるものだと私は思っています。
「見てから買う」もしくは「違う形式で見てから、モノは買わないかもしれないが関連すること――ゲームやデジタル展開、または短時間でできる体験――にはお金を使うかもしれない」といった、より緊密で簡単でスピードが速い反応になってきています。展開商品の性質が変わり、必ずしも「Tシャツを発売する」のではなくなってくるのです。
マニュエル・トーレス・ポート(NBCユニバーサル)
そして、即時性が重要になる。そうですよね? 子どもに限らず、消費者・視聴者はストーリーやコンテンツを短期間に浴びるように視聴します。そして、すぐに最終形を求めるのです。その時には準備万端整っていなければなりません。今まで半年から1年を要したものが3ヶ月で発生し、その時に対応できなければ、もう次のチャンスはないのです。
「360度の視点」をもってファンとのつながる企業カルチャーを醸成すべき
アミット・デサイ(ワーナー/DCエンターテイメント)
付け加えるならば、“企業カルチャーが変化している”ということです。
我々の業務の中心にあるのは、クリエイティビティであるとお話ししてきましたが、それが変わることはないでしょう。
今後のこととしては、興行収入やゲームの売上を見てみると、フランチャイズの重要性がはっきりとわかり、クリエイティブ、ビジネス、フランチャイズマネジメントの三者間パートナーシップが今まで以上に重大な意味を持つようになっているのだと実感します。そして、フランチャイズというものを考える時には、ありとあらゆる視点で戦略を考える360度の視点を持つことが必須です。
自社の主要フランチャイズを常に活性化し光をあて、ファンの皆さんとのつながりをキープしなければならなくなる、という点においてでは企業カルチャーの変化が必要になってくると思います。
DCエンターテイメント・イルミネーションのマーケッターが語る「グローバル・フランチャイズの成功の掟」シリーズ
- (1)フランチャイズのグローバル展開は狙えるか?
- (2)コンテンツのグローバル展開成功の先に - DCスーパーヒーロー・ガールズ事例
- (3)世界各国の消費者インサイトの抽出 #1「データの活用」
- (4)世界各国の消費者インサイトの抽出 #2「ストーリーに賭ける」
- (5)コンテンツの消費のされ方が変わりつつある中での今後の展望
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