放送・総合リーチは『御上先生』、配信リーチは『ホットスポット』~1月期民放ドラマ推しファン人数TOP3比較~
公開日: 2025/04/04
2025年1月期のテレビドラマがこの3月に最終回を迎えました。そこで、より多くの「推しファン」を獲得したドラマを把握するとともに、それらのドラマがどのように視聴されていたかを詳しく比較分析していきたいと思います。
『ホットスポット』が1月期ドラマの推しファン人数で1位
以下は、「いま、推しているエンタメブランド」に関する調査において、「そのエンタメブランドで好きなメディア」として「国内ドラマ」と回答のあった2025年3月の推しファン人数TOP5です。

TOP3は1月期の新規テレビドラマが占め、1位に『ホットスポット』(日本テレビ系日曜ドラマ枠:22:30~23:25)、2位に『御上先生』(TBS系日曜劇場枠:21:00~21:54)、3位に『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系金曜ドラマ枠:22:00~22:54)が入りました。今回はこの3作品に注目して深堀りしていきます。

上記は3作品の1月から3月の推しファン人数の月別推移です。『御上先生』『クジャクのダンス、誰が見た?』は、1月の調査時点(1月18日)では放送開始前だったため、『ホットスポット』との比較には注意が必要です。
3月の推しファン人数で1位を獲得した『ホットスポット』は、放送開始の1月調査で既に13万人もの推しファンを獲得していました。続く2月に37万人と伸長し、3月調査ではさらに14万人もの推しファンが積みあがったことで、51万人にまで到達しています。一方、『御上先生』は2月調査で『ホットスポット』を上回る40万人を記録し、最終的には44万人の推しファンを獲得しました。そして『クジャクのダンス、誰が見た?』は2月に24万人、3月には26万人の推しファンを集めており、今期ドラマに関して、推しファンベースでは『ホットスポット』と『御上先生』の2強であったことが分かります。
「リアルタイムのテレビ放送リーチ」「総合リーチ」ともに『御上先生』がトップ
次に各作品がどのような形態で、どの程度視聴されたのかをみていきます。以下は3作品を「リアルタイムのテレビ放送リーチ」、テレビ放送、録画、配信などメディアを問わず接触した「総合リーチ」、そして上記の「推しファン人数」で比較した表です。週次で集計している「リーチpt」は、各作品の1話から最終話(10話)が放送された週の値を合算しました。

放送開始時間が、『御上先生』は21:00、『クジャクのダンス、誰が見た?』は22:00、『ホットスポット』は22:30と深夜帯に近づく作品もあるため、その影響も考えられますが、リアルタイムのテレビ放送では、『御上先生』『クジャクのダンス、誰が見た?』『ホットスポット』の順でリーチが高いことが分かります。しかし、「総合リーチ」では『御上先生』『ホットスポット』『クジャクのダンス、誰が見た?』の順となり、『ホットスポット』が順位を一つ上げています。そして、3月時点の「推しファン人数」は前述のように『ホットスポット』『御上先生』『クジャクのダンス、誰が見た?』の順となり、『ホットスポット』が1位となっています。
このように『ホットスポット』は「リアルタイムのテレビ放送リーチ」は最も少なかったものの、録画視聴、配信視聴などを含めた別の視聴方法でもリーチを広げ、熱量の高い「推しファン」を最も多く獲得したという構造が見て取れます。
動画配信サービスでのリーチTOPは『ホットスポット』
『ホットスポット』の推しファン人数増加をけん引した視聴方法はなんだったのでしょうか。ここでさらに3作品の「総合リーチ」の内訳をみてみます。

上記は各作品の1話から最終話(10話)までの各週の値のリーチptを視聴方法別に積み上げたチャートです。『ホットスポット』は、「総合リーチ」では2位、「リアルタイムのテレビ放送リーチ」では3位でしたが、TVerなどを含む「無料で視聴可能な動画配信サービス」と「月額定額の動画配信サービス」のリーチptはともに3作品中最も高い値であることが分かります。
また、2025年1月~3月における各作品の推しファンの接触率上位は以下となりました。いずれもテレビドラマのため、「テレビ番組」が最も高いですが、ともに次点は「動画配信サービス」となっています。そして、その中でも『ホットスポット』は20%と最も高い値を記録していることが分かります。

深夜のテレビアニメシリーズなど、「テレビでのリアルタイム放送」のリーチが少ない場合でも、動画配信サービスを通じて推しファン層を拡大する作品は多く出現しています。テレビドラマの『ホットスポット』も同様に、動画配信サービスを通じてリーチを広げ、推しファンを拡大したことが分かりました。テレビドラマにおいても今後同様のケースが増えていくことが想定されます。
毎月約3万人、全国に住む15~69歳の男女に対して、メディアを横断し「いま、推しているエンタメブランド」に関する大規模調査を実施。エンタメブランドの価値をメディア横断でとらえ、<推しファン人数><支出金額><接触日数>を集計しているほか、これらの値から総合指標<推しエンタメブランド価値(単位:GEM)>を算出しています
出典:「エンタメリーチトラッカー」
調査概要:全国に住む男女15歳~69歳を対象。日次で調査を実施、週次で集計。サンプル数は毎月のべ約10万人。「リーチpt」はコンテンツに接触した延べ人数を指標化したもの。
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