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『鬼滅の刃』「ホロライブ」など最強アニメ・IPが集結、ファンコンテンツ別イベント・展示レポート
公開日: 2024/08/09

特集:Anime Expo 第3回

米ロサンゼルスで日本のアニメやマンガなどのポップ・カルチャーに特化した北米最大級のコンベンション「Anime Expo」が7月4日から7日にかけて開催されました。今年は昨年を上回る来場者数で大いに盛り上がり、日本からも多数関係者が訪問しました。注目のイベントやセミナーについて紹介します。
第3回はAnime Expoのメインパートとも言える、ファンに向けたコンテンツ別のプレゼンテーションや交流を主目的としたイベント、展示ホールの様子をレポートします。


※本記事で触れられている内容は2024年7月時点の情報です。

《目次》

 

 

大量・多彩なイベントと展示

Anime Expoの大きな特徴として、コンテンツから配信プラットフォーム・グッズメーカーまで幅広い企業によるファンに向けた発表・交流イベントや、アニメ研究などの学術的な内容のセミナー・パネルが、実に1000時間ほどあるということが挙げられます。また大きなホールには300以上の企業展示があり、コンテンツ体験やグッズ販売、交流イベントが開催されます。さらにはコミケのように個人のアーティストが自分たちの作品を頒布するエリア、Artist Alleyにも多数の人が集まります。

本記事では企業によるファン向けのパネルをいくつかピックアップするとともに、展示場の様子もレポートします。

Entertainment Hall
Exhibit Hall
Artist Alleyの様子
 

TOHO animationのファンの心をつかむイベント

昨年に続き、アニメレーベルTOHO animationはイベントを実施。昨年はエンタテインメントユニットアニメ本部の大田圭二本部長が登壇し、コンテンツラインナップとレーベルとしての全体像を発表したのに対して、今年は初日7月4日に『SPY×FAMILY』『怪獣8号』、5日に『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』、6日に『僕のヒーローアカデミア』と全3回、コンテンツを前面に出した形で実施されました。Anime Expoのイベント会場で最も収容人数の多いホールの一つ、Main Eventsで行われ、会場がファンであふれる盛り上がりを見せていました。紹介された作品の内、『怪獣8号』『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』は昨年の段階では「これから放送予定のアニメ」として紹介されたもので、この1年で一気にファン層を作り上げた様子が伺えました。

各イベントの内容もコンテンツごとのファンイベントになっており、人気キャラクターの声優登壇と公開アフレコ、アニメーターによるライブドローイング、ファンへの呼びかけや写真撮影といった交流、"Giveaway"と呼ばれるフィギュアなどのプレゼント提供など、ファンの熱狂を高める要素をふんだんに取り入れていました。

こうしたイベントに登壇するクリエーターが、会場を埋めるファンの熱と温かさに感激することがよくありますが、TOHO animationの各パネルでもそうした様子が多く見られました。ファンが日本のみならず世界にいるということをクリエーターが肌身で実感することは、彼らの創作意欲にも繋がります。北米の映画館でアニメ映画を観ると、観客の反応がより素直で大きいように思います。同じ映画でも東京の映画館とロサンゼルスの映画館で、観客の笑いや驚きの反応のストレートさに違いが出るように、Anime Expoでもファンの温かさと愛情を感じる大きな声援や反応が多くあり、参加していて新鮮に感じました。

『SPY×FAMILY』のアニメ版監督の古橋一浩氏、映画版監督の片桐崇氏がそれぞれ登壇し、Anime Expo用に描き下ろされたボンドとアーニャの特別原画を披露
『怪獣8号』日比野カフカ役の福西勝也氏と亜白ミナ役の瀬戸麻沙美氏が公開アフレコを実施
『薬屋のひとりごと』キャラクターデザイン中谷友紀子氏によるライブドローイング
 

『鬼滅の刃』など人気・放送中/放送予定の多彩なアニメシリーズ・映画の紹介とファンへのアピール

他にも多数のアニメイベントが開催され大きな盛り上がりを見せていました。その中でいくつかピックアップして紹介します。

日本でも最新シリーズ『鬼滅の刃 柱稽古編』が高い視聴数を誇り、最終回がAnime Expo直前の6月30日に放送・配信されたばかりの『鬼滅の刃』は、「5周年記念」と銘打った大規模なイベントを実施。竈門炭治郎役の花江夏樹氏、冨岡義勇役の櫻井孝宏氏、アニプレックスの高橋祐馬プロデューサーが登壇しました。花江氏と櫻井氏による公開アフレコが実施され、さらに我妻善逸役の下野紘氏や鬼舞辻無惨役の関俊彦氏からのビデオメッセージが上映され、大きな盛り上がりを見せました。同作品の映像が流れるとキャラクターの登場ごとにファンから大きな声援が上がり、本作のファン層の北米での厚さが伺えました。またこのイベント内で、新発売のオンラインボードゲーム『鬼滅の刃 目指せ!最強隊士!』のPRが行われました。

ほかにもアニプレックスによるA-1 Picturesのラインナップ発表イベント、最新シリーズが24年10月に放送開始の『青の祓魔師』特別イベント、同年10月より放送開始の『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインII』のイベント、さらにはスマホゲーム『Fate/Grand Order』の7周年記念イベントが開催されました。

昨年のAnime Expoで長田絵里監督が登壇し、製作発表されたワーナー ブラザース ジャパン提供・WIT STUDIO制作の『異世界スーサイド・スクワッド』(原題”Suicide Squad ISEKAI”) の放送・配信が開始され (日本では7月5日よりTOKYO MX、BS11、ABEMAで放送・配信、北米では6月27日よりMAX、Huluで配信開始)、今年のAnime Expoではエピソード1が2300人を収容する屋内クラブ会場”The Novo”で上映されました。上映開始後も入場を待つ多くの人が列をなす盛況ぶりでした。

映画配給からはアカデミー賞長編アニメーション賞を獲得した『君たちはどう生きるか』を北米で配給した、GKIDS Filmsがラインナップを発表。北米でスタジオジブリ作品を年間を通じて上映するStudio Ghibli Festで昨年は10作品上映されたのが、今年は14作品上映されることを明らかにしました。またほぼすべての作品をGKIDS Filmsが配給しているサイエンスSARUからは『ダンダダン』のアニメシリーズの内3エピソードを配信前に劇場で公開すること、そして、山田尚子監督の『きみの色』の公開が控えていることが紹介されました。

フィギュアの企画・開発・製造・販売を行う壽屋も、新作フィギュアの発売や予約の発表会を行いました。新しいフィギュアを紹介するとともに、「どのポケモンのフィギュアが欲しいか」などファンのニーズを聞いたり、登壇者が「皆さんの意見を反映して作っている」と明言したりするなど、観客との絆、信頼関係の厚さを感じさせるイベントとなっていました。またトリビアクイズを行い、正解者には豪華なプレゼントを贈呈し、満席のセミナールームを盛り上げていました。

 

社長にコールがかかる!? グッドスマイルカンパニーとホロライブプロダクション 新作発表会

4日間の滞在中多数のイベントに参加したなかで、最も印象的だったのはフィギュア制作会社のグッドスマイルカンパニー創業者・安藝貴範氏とホロライブプロダクションを運営するカバーの谷郷元昭社長が登壇したイベントです。まず本イベントも1番大きなホールの一つであるPetree Hallで開催されましたが、多くの人が入りきらない程の人気イベントとなっていました。

ホロライブプロダクションには英語圏での活動を前提としたホロライブEnglishがあり、いくつかのユニットがあります。その中からFUWAMOCOフワワ・アビスガードモココ・アビスガードも「登壇」。ねんどろいどやフィギュアの新作・発売の案内やイベントの告知を行いました。

そのなかで驚いたのは、カバーの谷郷社長に対して自然発生的に「YAGOO(「やーごー」、谷郷社長のファンの間での愛称)! YAGOO! YAGOO!」というコールが完全満席のホールで何度も掛かったことです。グッドスマイルカンパニーの安藝氏にも掛かっていました。谷郷社長はホロライブ配信時に時々登壇しファンに認知されており人気があるとはいえ、Anime Expoの数あるイベントで、登壇者、ましてや経営者へのコールがかかるのはあまり見かけません。コールは1度だけではなく、50分のイベントの中で何度も掛かっており、ファンからの熱を実感しました。

また、カバー社初の海外拠点COVER USAの設立が発表され、営業を開始したことをファンに報告。谷郷社長が「僕らは今週からこちらにオフィスを構えて、よりみなさんに楽しんでもらえるように会社を立ち上げましたのでよろしくお願いします」と語るとまた会場から大きな声援が起き、北米ファンの期待の高まりが感じられました。

なお、Anime Expo開催中の7月5日のドジャー・スタジアムでのドジャース戦は"hololive night"としてタイアップイベントが開催されており Anime Expo来場者の多くも観戦していました。

 

展示ホールで異彩を放つ各社

Exhibit Hall、Entertainment Hallでは、アニメIP事業者、グッズ販売企業、配信サービス、出版社からゲーム事業者までブースを構え、ファンに向けて即時販売会、交流イベントを開催していました。

アニメIP事業者

東映アニメーション
TOHO animation
アニプレックス
『鬼滅の刃』
バンダイナムコ
『ブルーロック』
『キン肉マン』

グッズ販売企業

ブシロード
フリュー
グッドスマイルカンパニー

配信サービス

Crunchyroll
Hulu

出版社

VIZ
講談社

ゲーム

『原神』
Cygames

そのほか、JETRO(日本貿易振興機構)が主催する企業関係者のネットワーキングイベント「JAPAN ANIME Social ~ Networking Mixer For Anime Industry at AX~」やAnime News Network主催のパーティなど在米の関係者や日本からの出張者の交流を促進するイベントも開催されていました。

 

特集:Anime Expo 2024