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新作発表・世界初上映、400超のパネル・上映から見る日本の総合エンタメ見本市としてのAnime Expo~特集:Anime Expo 2026
公開日: 2026/08/06

特集:Anime Expo 2026 第2回

日本のアニメやマンガなどのポップ・カルチャーに特化した北米最大級のコンベンション「Anime Expo」が7月2日から5日にかけて米ロサンゼルスで開催されました。特集第2回は、アニメクリエーターや制作・事業会社がファンとの交流や新作発表などを行う「パネル」に着目。4日間で400を超えるセッションの全体像と、話題を集めたパネル、筆者が実際に参加したパネルの詳報、そしてパネル文化の根底にあるファンとの交流のあり方から、北米エンタメ市場の今を紐解きます。
※本記事で触れられている内容は2026年7月時点の情報です。

《目次》

 

 

4日間で401セッション――作品パネルの主戦場はCrypto.com Arenaへ、ゲーム・音楽・実写にも拡大

公式スケジュールをもとに当社で集計したところ、今年のセッション数は4日間で401件(7/2:113件、7/3:123件、7/4:122件、7/5:43件)でした。100以上の作品・IPが何らかのパネル・上映と紐づいており、その裾野はその名にある、「Anime」をはるかに超えて様々なメディアへと広がっています。


昨年まで、目玉となる大型作品、人気パネルの開催場所は、7,000人収容のPeacockシアターが中心でしたが、今年はさらに大きな箱であるCrypto.com Arenaがその上位に加わりました。『サイバーパンク: エッジランナーズ2』のワールドプレミア、『BLEACH 千年血戦篇』のスペシャルステージ(日本語版・森田成一と英語版声優が登壇)、TOHO animation主催の『僕のヒーローアカデミア』10周年記念パネル(山下大輝・内山昂輝登壇)、『呪術廻戦』5周年記念パネル、作曲家・菅野祐悟の生演奏付き『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』特別パネル、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』のファンミーティングなど、NBAアリーナ級の空間を埋める大イベントが行われました。Peacockシアターでも、Crunchyroll主催の『鬼滅の刃 無限城編』セレブレーション(花江夏樹・櫻井孝宏・早見沙織ら登壇)、『ブラッククローバー』2nd Seasonの世界最速上映、『モブサイコ100』10周年記念パネルなどの大型企画が連日開催されました。

ゲーム領域の広がりも顕著でした。アトラス『ペルソナ4 リバイバル』の公式パネルにプロデューサーの和田和久氏や、キャラクターデザイナーの副島成記氏らが登壇し、ゲーム内のアニメカットシーンをMAPPAが手掛けることを発表。ネットマーブルは『俺だけレベルアップな件』の新作ゲーム「俺だけレベルアップな件:KARMA」を、Nexon Games内にあるゲーム開発スタジオIO Divisionは『ブルーアーカイブ』の開発秘話と新PVを披露しました。アークシステムワークス、スパイク・チュンソフト(ダンガンロンパ15周年と『STEINS;GATE RE:BOOT』の発売記念イベントを実施)、サイバーコネクトツーといった日本のゲーム会社による単独パネルに加え、韓国のスマイルゲートや中国のBilibiliといったアジアの企業による大型ショーケースも行われました。

さらに、神山健治監督らが登壇した『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』のファーストルック、テレビ東京×Global Stage Hollywoodによる伊藤潤二の実写アンソロジー『ストレンジ -伊藤潤二の夜も眠れぬ奇妙な話-』のパネル&上映、ディズニープラスによる『ドラゴンストライカー』のパネルなど、ハリウッド・グローバルプラットフォーム発の企画もありました。音楽ライブやVTuber・アイドル系のセッションも含めれば、Anime Expoのパネルはもはや「日本アニメの発表会」ではなく、「日本発ポップ・カルチャーを核とした総合エンタメ見本市」と呼ぶべき内容になっています。

 

米国メディアとSNSを賑わせたパネルにみるゲームとアニメの融合――『サイバーパンク: エッジランナーズ』『BLEACH』『鬼滅の刃』『俺だけレベルアップな件』

各作品のイベントの内容・発表に関する米国メディアでの報道・SNSでの反応に基づく話題度をみると、今年のAnime Expo発のニュースとして特に大きく取り上げられたものの一つが、CD PROJEKT REDがCrypto.com Arenaで開催した『サイバーパンク: エッジランナーズ2』のワールドプレミアパネル(18歳以上限定)でした。GizmodoやGamesRadarなどToC向けの媒体を含む多数のメディアが報道。ポーランドのゲーム会社が日本のスタジオと組んだ作品の続編が、北米最大のアニメイベントで最大級の話題をさらうという構図自体が、前段で述べた「境界の融解」を象徴しています。


『BLEACH 千年血戦篇』のスペシャルステージ、劇場版の配信開始発表が絡んだ『鬼滅の刃 無限城編』セレブレーション、『俺だけレベルアップな件』の新作ゲーム「俺だけレベルアップな件:KARMA」のパネルについても広く報道されました。このほか、バンダイナムコによる『ソードアート・オンライン』のパネル、『僕のヒーローアカデミア』10周年記念イベント、韓国発のWebアニメ『ALIEN STAGE』のトークライブ、アトラスの『ペルソナ4 リバイバル』のパネル、サイエンスSARUによる『攻殻機動隊』完全新作リブートの米国プレミア、『モブサイコ100』10周年セレブレーション、『ブラッククローバー』2nd Seasonのプレミア、『葬送のフリーレン』のスペシャルイベント、『Re:ゼロから始める異世界生活』4th season《奪還編》のワールドプレミア、アニメ『カグラバチ』のワールドプレミアなども話題を集め、日本の定番IPと新興IP、アニメとゲームが入り混じる顔ぶれとなりました。

 

周年・世界初上映・制作舞台裏――現地で体感したパネルの熱量

1,400時間のプログラムのごく一部ではありますが、筆者が実際に参加した主要パネルの様子を詳しく紹介します。

KADOKAWAアニメ10周年記念パネル—『Re:ゼロ』S4後半を世界初上映

KADOKAWAアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』『この素晴らしい世界に祝福を!』『文豪ストレイドッグス』の10周年を記念したプロデューサー座談会が実施されました。「2つの真実と1つの嘘(Two Truths and a Lie)」というゲーム形式で各作品の制作秘話を明かすアメリカのイベントらしい演出で会場を沸かせました。さらに、日本放送に先駆けて『Re:ゼロから始める異世界生活』4th season《奪還編》第1話の世界初上映も実施されました。また、『幼女戦記』のアニメ第2期が全編手描き(CG不使用)で制作されていることや、フロム・ソフトウェアのゲーム初のアニメ化となる『Sekiro: No Defeat』も同様の方針であることも紹介され、“作画”へのこだわりを前面に出した構成が印象的でした。パネルでは、「『Re:ゼロ』はあと20年でも本編を作り続けたいです」という発言も飛び出しました。

A-1 Pictures――新作プレミアと大型発表を連打

オリジナル新作『グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~』第1話のアドバンス上映からスタート。1950~60年代の日本を舞台にしたサーカス団の物語と紹介されました。監督とプロデューサーが登壇し、木下大サーカスへの取材協力や、いすゞ自動車によるボンネットバスのデザイン監修など、時代考証の裏側を語りました。ラインナップ発表パートでは『マッシュル-MASHLE-』第3期(三魔対争神覚者最終試験編)の2027年1月放送、メイクをテーマにしたマンガ『ブレス』のアニメ化(2027年)を紹介。さらに『俺だけレベルアップな件』の劇場版『俺だけレベルアップな件 -Beyond the System-』の正式タイトルと新トレーラーを公開しました。A-1 Pictures清水暁社長が自ら登壇して意気込みを語り、サイン入りイラストの来場者抽選会で締める、ファンサービスと事業発表を織り交ぜた王道的な構成でした。

『葬送のフリーレン』特別イベント――“プレミアム”アニメの舞台裏を公開


TOHO animation主催の特別イベントには『葬送のフリーレン』の監督・キャラクターデザイン・プロデューサーが登壇。完成映像だけでなく、原画修正、絵コンテ、カラースクリプトといった制作過程の“実物”を次々に公開し、ライブドローイングも披露しました。4本腕の魔族「レヴォルテ」との戦闘シーンにおける作画の工夫、花のモチーフで「出会いと別れ」をつなぐオープニング映像の設計、1,000枚超の作画を要したという花吹雪のカットなど、細部のこだわりが惜しみなく紹介されました。さらに、シーズン3の制作体制に関する発表もありました。こうした「制作工程を見せる」パネルが大きな集客力を持つこと自体、北米ファンの関心の深まりを感じさせます。

左から、北川朋哉監督、斎藤圭一郎氏、福士裕一郎氏、小嶋慶祐氏

『カグラバチ』ワールドプレミア――アニメ放送前とは思えない熱狂

「週刊少年ジャンプ」連載の話題作『カグラバチ』は、TVアニメ第1話の冒頭20分を世界初公開しました。主人公・六平千鉱役の木村太飛に加え、マンガの担当編集やプロデューサー陣が登壇し制作の裏側について語りました。また、Anime Expoを起点にJapan Expo Paris、Otakon、Anime NYCなどを巡る「アニメワールドツアー」が始動しています。直前に行われたCrunchyrollのショーケースでも主要発表の一つとして紹介されていました。

特筆すべきは、アニメ放送が27年春とまだ先で、現状は“マンガしかない”作品が、これほどの熱狂で迎えられていることです。背景には、「週刊少年ジャンプ」での連載開始と同時に集英社の海外向けアプリ「MANGA Plus」で英語版が全世界同時配信されるなど、連載初期から北米のファンダムが日本と同時進行で育ってきたことがあります。出版社によるデジタル同時配信が、アニメ化を待たずにグローバルなファンベースを作り上げる時代の象徴的な事例と言えます。

『呪術廻戦』5周年—―Crypto.com Arenaで日英声優が共演

TOHO animation主催の『呪術廻戦』5周年記念パネルは、今年新たに会場となったCrypto.com Arenaを象徴的に使ったイベントでした。日本語版と英語版の声優が同じステージに登壇し、虎杖悠仁役の榎木淳弥とアダム・マッカーサーらが名場面を日英それぞれでライブアフレコ。緊張したという榎木に客席から「頑張って!」との声援が飛ぶ場面もありました。シーズン3「死滅回游」前編のNetflix・Prime Video配信開始、シーズン4の制作進行をはじめ、『Vampire Survivors』開発元Poncleによる新作ゲーム「呪術廻戦 RUMBLE: SURVIVATON」についても発表され、アニメ・配信・ゲーム・イベント・グッズを総動員するIP展開の厚みを見せつけました。

取材・文:梅津 文

特集:Anime Expo 2026