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2026年夏興行の実態を前年と比較分析、ヒット一極集中からヒット豊作にシフト
公開日: 2026/09/18

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が2026年の国内公開作品でNo.1の興行収入を獲得し(9/18時点)、『トイ・ストーリー5』がシリーズ日本公開の30周年にして、日本市場でのピクサー史上最高の興行収入となるなど、さまざまな作品が話題となった2026年の夏興行。前年と比べてどのような変化が見られたのか、作品数や公開週、鑑賞者分布から振り返ります。

《目次》

 

 

興行収入を前年と比較、2026年は10億円超えが豊作に

下図は25年、26年における7月から8月に上映された作品の興行収入ランキング TOP25の積み上げグラフです。両年を比較するため興行収入は最終値ではなく、7・8月中の累計値となります。オレンジ色の網掛けは7・8月公開作品、それ以外は6月以前の公開作品を示しています。

図1:2025年/2026年 7・8月上映作品の興行収入TOP25 興行収入区分別の積み上げグラフ (左:興行収入、右:作品本数)
図1:2025年/2026年 7・8月上映作品の興行収入TOP25
興行収入区分別の積み上げグラフ
(左:興行収入、右:作品本数)

TOP25の興行収入を合算した左側のグラフをみると、26年は553億円で、前年の643億円を90億円下回りました。なお、25年7・8月の興行収入1位は、300億円の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、2位は6月公開の『国宝』(92億円)でした。25年はこの2作のみでTOP25の興行収入のうち61%に達しています。

一方で、7・8月公開映画のみで興行収入を比較すると様相は異なります。左側グラフの点線で示す通り、26年は487億円で25年の488億円とほぼ同額となりました。

25年7・8月公開作では、興行収入50億円以上の作品が『鬼滅の刃』(300億円)のみでした。一方、26年は『トイ・ストーリー5』(125億円)、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』(122億円)の2作が100億円超え。『キングダム 魂の決戦』(64億円)、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(52億円)の2作は50億円を超えており、複数の作品で興行収入をけん引しています。

右グラフの点線で囲った興行収入10億円以上の作品本数をみると、26年は9本で、25年の5本よりも増加しています。7・8月公開映画に絞ると、26年は前年よりもヒット作品が多い年となりました。

 

2026年7・8月の興収上位作品は「女性比率高め・若年寄り」を中心に分布

各作品をどのような層が鑑賞、もしくは意欲があったのか、性年代からも比較します。「CATS作品別詳細オンライン」を用いて、各年の7・8月公開作品で、初週興行収入2億円以上の11作品を「夏期の主要公開作品」と定義し、抽出。当該作品について、公開初週に「すでに観た」、もしくは鑑賞「意欲がある」とした回答者データをもとにバブルチャートを作成しました。

横軸は男性比率、縦軸は20代以下比率、バブルの大きさは興行収入を示しており、右に行くほど男性比率が高く、上に行くほど若年層の鑑賞者が多くなります。なお、アンケート対象者は15~69歳のため、ファミリー向けの作品でも14歳以下は回答者に計上されていません。

図2-1:2025年夏期の主要公開作品 「意欲」「すでに観た」回答者の性別×年代構成
図2-1:2025年夏期の主要公開作品
「意欲」「すでに観た」回答者の性別×年代構成

25年は邦画実写作品が11作品中6作と半数以上でした。また、右下の「男性比率高め・年配寄り」ゾーンを中心に作品が集まっています。

図2-2:2026年夏期の主要公開作品 「意欲」「すでに観た」回答者の性別×年代構成
図2-2:2026年夏期の主要公開作品
「意欲」「すでに観た」回答者の性別×年代構成

対して26年は、邦画・洋画やアニメ・実写などの種類が多様な11作品が並びました。性年代で見ると、左上の「女性比率高め・若年寄り」から中央に近い箇所に作品が分布しています。興収100億円超となった『トイ・ストーリー5』や『ちいかわ』は、このゾーンに位置しています。

また、26年は左上の「女性比率高め・若年寄り」ゾーンから離れた場所に、邦画実写の『キングダム 魂の決戦』、洋画実写の『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』、邦画アニメの『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』と種類の異なる3作品がマッピングされました。いずれも初週興収9億円以上を記録しているヒット作であることから、ここからも26年公開作品の多様性がみてとれます。

 

前年よりも、さまざまな主要公開作品を「劇場で観たい」と回答

続いて「夏期の主要公開作品」に対して、劇場鑑賞者にどのような動きがみられたのかを確認します。下記は25年・26年の公開初週における「VC/意欲者」指標の内訳です。作品に対して鑑賞意欲のある人のうち、「調査週の土日〜次の金曜までの1週間に劇場で観る」(=ビューイングチョイス:VC)と答えた割合(複数回答)のTOP10です。「夏期の主要公開作品」以外はグレーアウトし、左から公開日の早い順に並べました。

25年は、各列のTOP10に「夏期の主要公開作品」は2~6本(平均4.7本)入りました。なお、『鬼滅の刃』は11列すべてに入り、グレーアウトしている『国宝』は9列に入っています。ほとんどの作品の意欲者にとって、この2作が「劇場で観る」選択肢として挙がっていたことが分かりました。

図3-1:2025年夏期の主要公開作品 公開週の「VC/意欲者」内訳 TOP10
図3-1:2025年夏期の主要公開作品
公開週の「VC/意欲者」内訳 TOP10
図3-2:2026年夏期の主要公開作品 公開週の「VC/意欲者」内訳 TOP10
図3-2:2026年夏期の主要公開作品
公開週の「VC/意欲者」内訳 TOP10

26年の図では「夏期の主要公開作品」がより目立ちます。各列でTOP10のうち1~8本(平均5.7本)入っています。特に7月31日以降の公開作品は、『オークストリートの異変』以外の作品すべてで、TOP10のうち7本以上が「主要公開作品」となりました。25年の一極集中とは異なり、26年はさまざまな「夏期の主要公開作品」に人気が分散し、鑑賞意欲者が「劇場で観たい」と思う作品が同時期に多く重なり、目移りしていた可能性があります。

 

ランキング首位が5度入れ替わった2026年

前述の一極集中と分散の動きは、実際に7・8月上映作品の週末動員ランキングからも見てとれます。25年は7月冒頭の2週間の1位を『国宝』、以降は8月末まで『鬼滅の刃』が首位に残り続けました。

2025年
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 順位 7/4 7/11 7/18 7/25 8/1 8/8 8/15 8/22 8/29 国宝 劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来
2026年
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 順位 7/3 7/10 7/17 7/24 7/31 8/7 8/14 8/21 8/28 トイ・ストーリー5 キングダム 魂の決戦 映画ちいかわ 人魚の島のひみつ スパイダーマン: ブランド・ニュー・デイ 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 〈ワルプルギスの廻天〉
※1 興行通信社調べ
※2 オレンジ色は7・8月の公開作、グレーは6月以前の公開作。◆は作品公開週の順位を示しています。
※3 マウスホバーで作品名と公開週を表示します。
図4:2025年/2026年7・8月 週ごとの週末動員ランキング推移

対して26年では、5作品が公開週に首位を獲得しています。7月の第1・2週を『トイ・ストーリー5』、7月第4週以降の複数週で『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が1位を獲得。加えて、『キングダム 魂の決戦』『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』の3作も公開初週で1位を獲得。大型作品の封切りに合わせて、ランキング首位が入れ替わる年となりました。

26年7・8月の夏興行は、上映作品の興収では25年を下回ったものの、公開作品の興行収入は前年並みとなりました。一方で、26年の興行収入で10億円を超えた作品は9本と、ヒット作の本数が前年の5本から増えていることが分かりました。

鑑賞・意欲層から見ると、25年は主要な公開作品が「男性比率高め・年配寄り」に寄っていた一方、26年は「女性比率高め・若年寄り」から中央にかけて広く分布しました。前年よりも多様な作品に人気が集まっており、実際に観客動員ランキングでも入れ替わりの多い年となりました。

出典:「CATS作品別詳細オンライン
劇場公開前の作品について、宣伝状況を詳細に把握できるオンラインダッシュボードです。目標とする興行収入に合わせて、達成すべき認知・意欲や露出量の「目標目安値」とターゲットを作品別に設定し、宣伝期間の目標達成状況を具体的に把握できます。セグメント別の浸透度や、予告編・テレビ・デジタルの露出の詳細データを分析でき、「同時期公開作品」「過去類似作品」との数値比較も可能です。