アジア映画産業がニューノーマル市場で繁栄するための条件:ユニバーサル・ピクチャーズ南アジア担当VP基調講演
公開日: 2024/01/11
2023年12月、タイのバンコクで開催されたアジアの映画興行・配給事業者向けコンベンション「CineAsia(シネアジア)」より、ユニバーサル・ピクチャーズ・インターナショナルの南アジア担当バイスプレジデント、スーピー・ラサナモンコルマス氏の基調講演「Asia In The New Normal」の模様をレポート。ラサナモンコルマス氏は、アジアにおけるローカル・コンテンツのヒットに喜びを示したほか、パンデミック後の消費者行動の変化に注目。それらをアジアのニューノーマルとして捉え、映画業界が新たな時代に向けて前進していることを訴えました。
※本記事で触れられている内容は2023年12月時点の情報です
スーピー・ラサナモンコルマス(Soupy Rathanamongkolmas)
ユニバーサル・ピクチャーズ・インターナショナル(Universal Pictures International):南アジア担当バイスプレジデント
- コロナ禍を越えてアジア映画産業は繁栄のさなかにある
- 映画がカルチャーイベントとなったとき、映画館はコミュニティ形成や特別な体験を得る場所となる
- 『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』が示した映画館での体験価値
- 繁栄を続けるために「ニューノーマル」への対応が必要
- 締めくくりに:映画産業が発展を続けるうえで留意すべきポイント
コロナ禍を越えてアジア映画産業は繁栄のさなかにある
スーピー・ラサナモンコルマス氏はまず、昨年3年ぶりの開催となったCineAsia(シネアジア) 2022について、「戻ってこられたことはとても嬉しいものでしたが、その喜びの一方で、この業界が今後どうなっていくのか、私たちの未来はどうなっていくのか、まだ緊張感が残っているように感じられました」と振り返りました。そしてそれから1年後となる今回のCineAsia 2023について、緊張は緩和されたのではないかとの見解を述べました。その理由として「生き延び、成功を収めただけでなく、アジアの繁栄のさなかにいる」との自信を示すとともに、「今年も私たちは、世界がアジア映画を受け入れ、拡散していくのを見ることになるでしょう」との期待を寄せました。
アジア映画が世界的な舞台で成功を収めている例として、ラサナモンコルマス氏は第95回アカデミー賞で、インド映画『RRR』が最優秀歌曲賞を受賞したことに触れるとともに、「アジア映画は成功を収めており、25作品以上が記録を塗り替え、各市場で歴代TOP10入りするなど、信じられないような興行的成功を収めています」と状況を解説。続けて、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』『トップガン マーヴェリック』といったハリウッド作品だけでなく、「『K.G.F』『1950 鋼の第7中隊』『犯罪都市 THE ROUNDUP』『鬼滅の刃』などのローカル・コンテンツも大きく貢献しています」と補足しました。
ラサナモンコルマス氏は、映画館の状況が大きく変わっていることにも着目。IMAXの興行収入とスクリーン数はともに伸びており、大きな成長を遂げていると述べ、「映画館は革新を起こし続け、観客に世界最高の体験をもたらし続けています」と映画館の進化を称えました。
映画がカルチャーイベントとなったとき、映画館はコミュニティ形成や特別な体験を得る場所となる
ラサナモンコルマス氏は、繁栄している市場の中で留意すべき点として、観客の意識・行動に変化が起こっているとし、「映画館は映画を『観にいく』場所というだけでなく、映画館に行く『自分たちを(SNSなどを通じて)見せる』空間になっているのです」と映画館が上映場所だけではなく、観客にとってコミュニティ形成や特別な体験を得る場所になっていることを明かしました。
さらに、『バービー』や『オッペンハイマー』などが社会現象として大成功した事例を挙げ、「“Barbenheimer”はアジアにもいてもカルチャーイベントとなりました。正直なところ、これらの映画の成功を祝うことになるとは予想もしていませんでした」と驚きと喜びを共有しました。また、オールターゲット映画として大ヒットした『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の事例を引き合いに出し、アニメーション映画も大画面で観客を動員できることと、ヒットするうえでは“インスタ映え”や“TikTok映え”して、“カルチャーモーメント”として話題になることが重要性であると説きました。
『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』が示した映画館での体験価値
また、最近の動向として、「テイラー・スウィフトの『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』によって、観客は映画館でのコミュニティ体験や、映画館で一緒に楽しい時間を過ごすことが好きなのだということが、より明確になりました」と述べ、……(以下、会員限定記事にて掲載)
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