基調講演②配給 【前編】 「『すずめの戸締まり』ほか、ローカル・コンテンツの存在感が目立つ世界映画興行市場の今」
公開日: 2023/05/26
米ラスベガスにて開催された世界中の興行会社と配給会社が集まるコンベンション「CinemaCon(シネマコン)2023」(開催期間:4月24日~27日)から、初日に行われた“INTERNATIONAL DAY”の模様をレポート。本記事ではパラマウント・ピクチャーズの国際劇場配給部門でプレジデントを務めるマーク・ヴィアン氏の基調講演【前編】をお送りします。
※本記事で触れられている内容は2023年4月時点の情報です
マーク・ヴィアン(Mark Viane)
パラマウント・ピクチャーズ:国際劇場配給部門プレジデント
- 何度も復興を遂げてきた映画業界、コロナ禍でも驚異的なヒット作が誕生
- 興収データで振り返る2022年の世界市場
- 日本アニメはじめ世界各国のローカル・コンテンツの存在感が増す
- ハリウッド映画はシリーズ続編もオリジナル・新作もヒットに恵まれた
何度も復興を遂げてきた映画業界、コロナ禍でも驚異的なヒット作が誕生
CinemaConの初日に開催された“INTERNATIONAL DAY”では興行会社、配給会社それぞれの基調講演を実施。トップを務めたのはインド最大手の映画興行会社PVR INOXのアジャイ・ビジリ氏(参照記事)、続いて今回取り上げる配給会社パラマウント・ピクチャーズの国際劇場配給でプレジデントを務めるマーク・ヴィアン氏が登壇しました。
ヴィアン氏はまず、コロナ禍で映画業界が直面してきた多くの危機に触れました。興行収入の激減、映画館の営業停止、動画配信サービスの台頭などを挙げ、世界中のジャーナリストや評論家が劇場ビジネスの終焉をうたい、決してもとには戻らないといっていたことを振り返りつつも、映画業界は立ち直りが早いことを強調しました。「私たちは、これまで何度も危機に直面しながらも、その度に強さを増してきました。乗り越えなくてはならない危機があったとしても、適切な作品が供給されれば、観客が熱意とともに映画館に戻ってくるのです。それはつまり、劇場体験への需要が依然として高いということなのです」。
ここで例として、この2年間で世界的に驚異的な興行収入を収め、世界興収15位以内に入った3作品を挙げました。
1作目は2021年のクリスマスシーズンから22年初頭にかけて公開された『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。本作は全米興収8.1億ドル、世界興収19.2億ドルを稼ぎ、世界興収歴代7位に入りました(※2023/5/23付Box Office Mojo調べ)。これは、『スパイダーマン』シリーズのみならず、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント史上最高の記録となりました。
続いて引き合いに出したのは『トップガン マーヴェリック』。本作は米カリフォルニア州サンディエゴでグローバル・プレミアが開催され、その様子はYouTubeでライブ配信されました。その後、カンヌ国際映画祭やイギリスでもプレミア上映が行われ、イギリスではケンブリッジ公爵夫妻が出席したことが告げられました。米興収は7.1億ドル、世界興収は14.9億ドルを記録し、世界興収歴代12位に入り(※2023/5/23付Box Office Mojo調べ)、主演のトム・クルーズ最大のヒット作となったほか、イギリスや日本では1億ドルを超える興収を収めていることが明かされました。
そして3作目に『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を紹介。本作の米興収は6.8億ドル、世界興収23.2億ドルを収め、『アバター』『アベンジャーズ/エンドゲーム』に次いで世界興収歴代3位を獲得しています(※2023/5/23付Box Office Mojo調べ)。
ヴィアン氏はこれらの特筆すべき結果を受け、「これらは我々のビジネスが永続的に続いていくこと、そして世界中で映画への愛情が共有されていることを示しています。映画業界の復興を疑っている人たちへ。私たちはこの業界にとどまります。そして、世界中の観客に劇場エンタテイメントを提供し続けます」と決意を表明しました。
興収データで振り返る2022年の世界市場
ポジティブなメッセージでスタートを切りたいと語ったヴィアン氏は、「現在の復興状況と映画業界の未来に焦点を当てます」と切り出し、2022年の世界興収の状況を紐解きました……(以下、会員限定記事にて掲載)
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