映画興行の現在地<CinemaCon 2023>~大規模公開作の供給増で明るい見通し、アップルやAmazonも劇場公開にコミット
公開日: 2023/05/02

米ラスベガスにて開催されている世界中の興行会社と配給会社が集まるコンベンション「CinemaCon(シネマコン)2023」(開催期間:2023年4月24日~27日)から、ハリウッドスタジオが全米・世界各国から集まった興行関係者に向けて行うラインナップ・プレゼンテーションの内容をレポート。第6回は全米劇場所有者協会(National Association of Theater Owners、以下NATO)ほかによる映画興行産業の今を語る"The State of the Industry"をお送りします。
開催場所:ザ・コロシアム(ホテル「シーザーズ・パレス」内)
登壇者(登壇順)
ミッチ・ノイハウザー(Managing Director, CinemaCon)
パーカー・フィン(映画『Smile スマイル』監督)
ロランド・ロドリゲス(Senior Advisor, Marcus Corp. and Influx and Chairman, NATO)
チャールズ・リブキン(Chairman & CEO, MPA)
ジョン・フィシアン(President & CEO, NATO)
“State of the Industry”:映画興行の今
CinemaCon、ジェームズ・キャメロン監督から
4月末退任のNATO会長兼CEOに感謝のビデオメッセージ
ミッチ・ノイハウザー氏(Managing Director, CinemaCon)による開会の挨拶で、“State of the Industry”がスタート。ノイハウザー氏は、コロナ禍を経て復興したことを告げるとともに、配給会社や機器メーカー、技術提供者、関係者に加えて、4月末で退任するNATO のジョン・フィシアン会長兼CEOに向けて謝意を表明。また、ジェームズ・キャメロン監督からフィシアン氏に向けて感謝を伝えるビデオメッセージの上映も行われました。
コロナ禍でもヒットしたオリジナル
ホラー映画『Smile スマイル』劇場公開までの経緯
ホラー映画『Smile スマイル』のパーカー・フィン監督が登壇し、コロナ禍でも『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のようなオリジナル作品の心強いヒットがでていること、そして自身が監督したオリジナルの『Smile スマイル』もヒットしたことを紹介。そして、『Smile スマイル』がいかにして劇場公開に漕ぎ着けたのかを説明しました。
「2020年3月のサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)で“Laura Hasn't Slept”という短編を出品していました。コロナの影響でSXSWは中止となりましたが、映画祭はオンライン開催となり、そこでミッドナイト・ショート部門特別審査員賞を受賞しました。そして、本作をみたパラマウントの人から、配信サービス向けの作品を作らないかと打診されたのです。そこで、短編として制作していたものを、長編映画として作り直しました。これを試写会調査(test screening)にかけたところ、観客が叫んで怖がったりするなど、反応がものすごく良く、試写後のアンケートもとてもスコアが高かった。パラマウントは、本作を劇場公開映画として公開することに商業価値を感じ、配信向けから劇場公開に切り替えることにしたのです。夢がかなった瞬間でした。結果は世界で2億1700万ドルのヒット。世界中の興行会社の方々に感謝を申し上げたい」。
フィン監督は最後にパラマウントとファーストルック契約を結んだことを明らかにしました。
“A Salute to the Top Films of 2022”
2022年の興行収入上位の作品に敬意を表して、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』ほか、各スタジオから合わせて15~20作品程度フッテージ動画を集めた動画を上映。日本作品では『ONE PIECE FILM RED』が選出されました。
“NATO Marquee Award”(功労賞)
ロランド・ロドリゲス氏(Senior Advisor, Marcus Corp. and Influx and Chairman, NATO)が功労賞にあたるNATO Marquee Awardを受賞。これまで関与した人に感謝の意を表するとともに、「2023年の世界興行収入は320億ドルといわれていますが、それよりも上振れるでしょう。そして2024年はさらによい年になるでしょう」と前向きに語りました。
より多くの映画が、より多くの市場で製作され
より多くの観客が映画館で鑑賞できるようMPA会員で協力
モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)のチャールズ・リブキン会長兼CEOより、より多くの映画が、より多くの市場で製作され、より多くの人が映画館で映画を鑑賞できるようにするために、……(以下、会員限定記事にて掲載)
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