東宝が映画の企画開発現場で進めるデータ活用:コアファンを掴む「エンタメブランド」分析
公開日: 2025/08/20
今、推されているエンタメブランドとそのファンを理解し、次のヒットを見いだすオンラインツール「推しエンタメブランドスコープ」の活用事例トークイベントが6月27日、GEM Partners本社で開催されました。イベントにはエンタメ社会学者の中山敦雄氏とともに、東宝株式会社と株式会社GENDAの担当者が登壇。本記事では、東宝株式会社の白藤清純氏の発言を中心に、映画製作の企画開発における同ツールの活用事例と、それがもたらす社内文化の変化についてレポートします。
右から、松沼雄祐氏(株式会社GENDA)、白藤清純氏(東宝株式会社)
「TOHO NEXT」でのコアファン指標の活用
東宝株式会社にて劇場用長編映画の企画を担当している白藤氏。同氏によると、特に音楽アーティストによるライブビューイングや、アニメの総集編といったコアファン向けコンテンツを中心に展開している新レーベル「TOHO NEXT」の領域にて「推しエンタメブランドスコープ」を活用しているといいます。その理由として同氏は、「企画を立てる際、エンタメブランドが持つ力、企画のターゲットとなる性年代に合うキャストを比較するために用いています」と明かしました。
また、「まだ小さなエンタメブランドでも、コアファンの存在によりビジネスは充分成立すると考えています。『TOHO NEXT』で検討する企画の種として参考になります」と熱量の高いファン層に支えられた企画の可能性を示しました。
若手プロデューサーの説得力をサポートするデータ
白藤清純氏(東宝株式会社 映画調整室)
白藤氏はさらに、同ツールが社内でどのように使われているかにも触れました。特に活用が進んでいるのは若手プロデューサー層であり、週に1回程度ダッシュボードを確認し、企画書の作成などに活用しているといいます。そして、経験の浅い若手にとって、データが説得力のある補足材料として機能していることを強調しました。
「以前は、ドラマの視聴率やSNSの話題性などが指標でしたが、これらでは拾いきれないものが多くありました。今では、このツールによる推しファン分析が、社内での検討材料として定着しつつあります」とし、社内で“共通言語”になりつつあることを共有しました。
今まさに伸びているエンタメブランドをデータで把握する
「推しエンタメブランドスコープ」は7月、エンタメブランドのヒット傾向が分かる新機能「推しヒット分析」を実装。白藤氏は、本機能により今まさに伸びているエンタメブランドを網羅的に発見できるという点に言及。「今、勢いがあるエンタメブランドを知りたいというニーズがありました。この機能を使えば、簡単な操作で今月一気に伸びたものが分かり、想定していなかったエンタメブランドやキャストを検討するきっかけになります」。
東宝株式会社における「推しエンタメブランドスコープ」の活用事例は、データドリブンな企画検討が着実に現場に浸透しつつある様子がうかがえます。特に若手人材による活用が進んでおり、推しファンの熱量や属性の定量的な把握が、新規企画の立案やキャスティング判断の基盤となっているようです。東宝の若手プロデューサーたちが、データを用いてどのようなヒット作品を生み出していくのか、期待が高まります。
毎月約3万人、全国に住む15~69歳の男女に対して、メディアを横断し「いま、推しているエンタメブランド」に関する大規模調査を実施。エンタメブランドの価値をメディア横断でとらえ、<推しファン人数><支出金額><接触日数>を集計しているほか、これらの値から総合指標<推しエンタメブランド価値(単位:GEM)>を算出しています
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