ファン熱量の『最後から二番目の恋』、キャストパワーの『キャスター』~4月ドラマのヒット分析【前編】
公開日: 2025/06/06
NHK、及び民放各局の2025年4月期のテレビドラマが放送を開始して1カ月以上経過し、各作品の評価が定まってきました。テレビドラマのヒット分析では、いわゆる視聴率やテレビ・配信などメディア横断でリーチを測る接触量や、どの程度のファンが作品についているかの熱量で測る方法などが考えられます。今回の記事では、作品への熱量に着目。作品を推しているファンの人数=「推しファン人数」をヒット指標として2回に分けて分析します。前編はドラマ、およびキャストの推しファン人数を比較しました。
ファンの熱量が最も高いドラマは『続・続・最後から二番目の恋』、2位は『波うららかに、めおと日和』
今回対象としたのは、2025年4月期に始まったNHKとキー局のプライムタイム(21時〜23時)放送作品で、下記がその一覧です。
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上記、分析対象テレビドラマ一覧のなかで、2025年4月、5月調査のいずれかで「推しファン」が出現した19作品を対象に5月時点の「推しファン人数」でランキングを作成しました。
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首位を獲得したのは『続・続・最後から二番目の恋』。同作は、小泉今日子と中井貴一がW主演を務めるシリーズ第3期にあたり、過去シリーズから継続して推しているファンの積み上げもあり、4月期ドラマのなかで最も推しファン人数の多い作品となりました。2位には西香はち原作の同名マンガを実写化した『波うららかに、めおと日和』、3位には朱野帰子の小説『対岸の家事』を原作とする『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』がそれぞれ入りました。
続く4位には『キャスター』がランクイン。同作は、テレビ視聴や配信も含めたメディア横断の“接触量”であるリーチptにおいて、対象作品中で最大値を獲得しています(※1)。リーチの順位に比べると推しファン人数の順位をやや落としていると言えます。
※1:出典:GEM Partners「エンタメリーチトラッカー」
キャストパワー首位は『キャスター』、2位に『天久鷹央の推理カルテ』
ドラマの人気を測る上でキャストの影響力は大きな要素の一つと考えられます。そこで、各ドラマの“キャスト”の推しファン人数と”ドラマ“自体の推しファン人数の関係についてみていきます。分析対象としたキャストは、各ドラマ公式サイトのキャスト欄に記された上位3名としました。
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上記、分析対象キャストを作品ごとに合計し、「推しファン人数」ランキングを作成しました。キャストの「推しファン人数」は、ドラマ放送前のキャストパワー(推しファン人数)が、ドラマへの推しファンにどのような影響があったかを確認するため、放送前の1年間(2024年4月~2025年3月)の平均値としました。なお、放送前1年間に推しファンが出現したキャストの値のみを利用しています。
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主要キャストの合計「推しファン人数」が最も多かったのは『キャスター』でした。合計「推しファン人数」は6.9万人を獲得。特にキャスト2の『永野芽郁』、キャスト3の『道枝駿佑』が多くを占めていることが分かります。2位の『天久鷹央の推理カルテ』は、キャスト1の『橋本環奈』がけん引。同様に3位『なんで私が神説教』はキャスト2の『渡辺翔太』、4位『人事の人見』はキャスト1の『松田元太』がそれぞれけん引していることが分かります。
本記事では、2025年4月期のテレビドラマのファンの熱量を測る“推しファン人数”という指標を用いて、作品および主要キャストから人気動向を分析しました。作品単位では『続・続・最後から二番目の恋』が多くのファンを惹きつけ首位に。一方でキャスト単位でみると、作品とは異なる傾向があることが明らかになりました。後編では、キャストパワーはどの程度ドラマ自体に対する熱量=推しファン人数に影響を与えているのかといった観点から、より詳細な分析を試みます。
『本田響矢』の推しファンがドラマ放送開始後に伸長、キャストとドラマの相互影響を可視化2025年4月ドラマのヒット傾向分析【後編】
毎月約3万人、全国に住む15~69歳の男女に対して、メディアを横断し「いま、推しているエンタメブランド」に関する大規模調査を実施。エンタメブランドの価値をメディア横断でとらえ、<推しファン人数><支出金額><接触日数>を集計しているほか、これらの値から総合指標<推しエンタメブランド価値(単位:GEM)>を算出しています
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