第3回:サブスク時代のヒットの見極め方(Spotify編)~特集:“ヒット”の定義とは? 出版・音楽・映像分野のプロが語る各々の指標
公開日: 2023/11/10
米ロサンゼルスで行われた「Variety Entertainment & Technology Summit 2023」にて9月21日、「Building Hit Entertainment Across Platforms」が開催されました。出版、音楽、映像と多様なエンタテインメント分野のエグゼクティブが登壇し、雑誌記事の映像化、リアリティショーにみるファンの忠誠心、ポッドキャスト事情、音楽ライブ市場の成長など、幅広いエンタメのトレンドを通して、“ヒット”の定義と指標について語った様子をレポートします。
第3回は、Spotifyのテック・プラットフォームならではの評価基準、音楽界では多様な世代のファンに向けたアプローチが大切であることなどが語られました。
※本記事で触れられている内容は2023年9月時点の情報です
マイケル・シュナイダー(Michael Schneider)
Variety/テレビ・エディター
パネリスト
アグネス・チュー(Agnes Chu)
コンデナスト・エンターテインメント(Condé Nast Entertainment):社長
イーライ・ホルツマン(Eli Holzman)
ソニー・ピクチャーズ テレビジョン(Sony Pictures Television):ノンフィクション部門プレジデント
ラッセル・ウォラック(Russell Wallach)
ライブ・ネーション(Live Nation):メディア&スポンサーシップ部門代表
リシェル・パラム(Richelle Parham)
ユニバーサル ミュージック グループ(Universal Music Group):グローバルeコマース&ビジネスデベロップメント部門代表
ジュリー・マクナマラ(Julie McNamara)
Spotify:グローバル・ボッドキャスト・スタジオ代表
- ヒットの見極めは番組単位でなく、プラットフォーム全体で
- ポッドキャストのゲスト出演で過去の楽曲がヒットした場合をどうとらえるか
- Z世代と共存しつつ、アルファ世代を見つめるSpotify
- ファンの嗜好は多様、既成概念にとらわれず、広く様々な属性にアプローチすることが大切
ヒットの見極めは番組単位でなく、プラットフォーム全体で
Spotifyでグローバル・ボッドキャスト・スタジオを率いるジュリー・マクナマラ氏は、前職のViacomCBS(現パラマウント・グローバル)と比較して、Spotifyにはテック企業ならではのヒットの定義があると語りました。「Spotifyは創始者がまだ運営している約15歳という若い会社で、メディア会社である以前にテック・プラットフォームです。そのため、ヒットの指標という面では、クリエイティビティやコミュニティ、優れたコンテンツ展開といった主要メディアとの共通項に加え、技術革新やその進化スピードも考慮されます」。
さらに、コンテンツ単位のパフォーマンスだけでなく、プラットフォーム全体の構築を重要視しているというマクナマラ氏。「私たちは、ダックス・シェパード、アレックス・クーパー、エマ・チェンバレン、ジョー・ローガンら、大規模な視聴者にリーチできる世界有数のポッドキャスターと契約しています。番組単位の消費時間やエンゲージメント、成長度といったデータも持っています。同時に、世界中の170市場で5億人のリスナーにリーチできる規模のプラットフォームの場合、評価基準は番組単位のものだけではありません」。
「Spotifyは5年前にポッドキャスト・ビジネスに参入しましたが、今は1億3000万人のリスナーがいて、500万以上のポッドキャストが展開されています。これほどの規模になると、人気のあるオリジナルまたはライセンス・コンテンツだけでなく、すべてのクリエイターにとって魅力的なプラットフォームとサービスを提供することが大事になります。寝室のマイクから発信されるものであろうと、よりジャーナリスト性のある内容であろうと、各々のコンテンツが目的を実現できるプラットフォームを築き上げたいのです」。
ポッドキャストのゲスト出演で過去の楽曲がヒットした場合をどうとらえるか
マクナマラ氏はまた、人気YouTuberによるプレイリストやポッドキャストへのゲスト出演がきっかけで、過去の楽曲が再ブームになるという、ヒットの在り方にも言及。「フランスのZ世代の人気YouTuberで、大の音楽好きであるレナ・シチュエーションがSpotify上でプレイリストを展開したり、人気ポッドキャスターのアレックス・クーパーがジョン・メイヤーやアニッタ、ケルシー・バレリーニのようなミュージシャンをゲストに迎えた結果、紹介されたアーティストの昔の楽曲配信が大幅に増加するような現象もあります。そのため、コンテンツ自体のデータだけでなく、周辺の様々な数字を見るようにしています。同時に、ソーシャルメディア上で、人々がどれぐらいコンテンツを話題にし、共有しているかといった文化的会話もヒットの指標です」。
Z世代と共存しつつ、アルファ世代を見つめるSpotify
ここで、モデレーターであるVarietyのマイケル・シュナイダー氏が、エンタテイメント・コンテンツにおいて、以前は18~49歳層が主な評価基準とされていたことに言及し、「今は、年齢や人種、場所などのデモグラフィックス、個人の行動や価値観、興味などのサイコグラフィックスのデータが可視化しているが、特に狙っている層はあるのか?」と問いました。
Spotifyのマクナマラ氏は、……(以下、会員限定記事にて掲載)
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