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ビッグデータビジネスの現状 - ビッグデータとエンタテイメントビジネス
公開日: 2016/09/23

エンタテイメント業界におけるビッグデータ活用に関するレポート

昨年ロサンゼルスで開催された米Variety誌主催の映像業界関係者向けのカンファレンス"Variety's Big Data Summit"において、「ビッグデータとエンタテイメントビジネス」というテーマで語ったセッションのレポート。


メディア企業、プラットフォーム、マーケティング・エージェンシーなどの企業が、ビッグデータビジネスを重視するようになった昨今、ビッグデータの活用方法についての現状と、その問題点、そしてそれらを活かしたエンタテイメントビジネスの理想的なあり方について、各企業の統括者が自身のケースとともに語った。

 

モデレーター:

ジェイ・タッカー(USC Marshall School of Business/コミュニケーション・テクノロジー・マネジメント部門 最高マーケティング責任者)

 

パネリスト:
スティーブ・カネパ(IBM /海外メディア&エンタテイメント産業部門 統括マネージャー)
コリン・キャリア(Twitch /最高戦略責任者)
ジョン・ディバイン(Yahoo!/海外事業部門長)
ティム・マールマン(AOL傘下Publisher Platforms/海外事業部長)
クリス・ロビショード(PMK-BNC/最高経営責任者)


メディア企業にとって核であり、より顕著になっていくビッグデータビジネスの現状:IBM

IBMの海外メディア&エンタテイメント産業部門統括マネージャーのスティーブ・カネパは、「我々の仕事は、メディア企業とともにビッグデータの活用法について探ること」だという。

「映画やテレビ番組を実際にリリースする前には成果を予測し、視聴者のメディア利用傾向の分析をもとに宣伝広告戦略を練るため、あらゆるデータを活用・分析するのです。メディア企業にとってデータは核であり、こうした傾向は、より顕著になっていくと思います」とカネパ。

ビッグデータ活用を探る要素として以下の3つを挙げた。

1. 相互交流とパーソナライゼーション

生活者に合わせた、適切なタイミングに、適切なデバイスで、適切な体験を作り上げるために、今まで以上に生活者や視聴者のことを理解する必要がある。

2. 活用できるデータ量の変化

“非構造化データ”と呼ばれる、これまでのコンピューターが苦手とする分野も、現在ではかなりのデータを引き出すことができるようになった。(参考:IBM“ワトソン”/ビデオやオーディオ、人間語をリアルタイムで解析し、パフォーマンス予測を行える人工知能コンピュータ)

3. 市場

ビッグデータをビジネスモデルの中核に置くことは、FacebookやGoogle、AOLといったキープレイヤーたちにとっては当然のこととなっているが、従来のメディア企業にとっては新しい傾向であるといえる。

IBMでは、こうしたメディア企業が「次世代データ・アーキテクチャ」と呼ぶものを構築するのをサポートしている。
 

AmazonとYahoo!は技術ベンチャーに投資も

2014年、Amazonが買収したTwitchは、ビデオゲームに基づいたプラットフォーム。その最高戦略責任者であるコリン・キャリアはこう話す。

「私たちのビジネスにおいても、データが核となっています。すべての意思決定においてデータを活用することは素晴らしいことで、理想でもあります。ただ難しいのは、何が正しいデータなのか、データ解析にどれほど時間をかけるべきなのか、そして、事業が大きくなればなるほど、どのように迅速な決断を下すのか、という点です。我々は、過去3年間、毎年2倍規模の成長を続けています。より多くの人々や物事を分析していく必要があるということは、成長企業ならではの挑戦でもあります」。

データが核となっているのはYahoo!も同様だ。Yahoo!海外事業部門長ジョン・ディバインは、「最近の大きな挑戦は、”メディア企業としてのデータ活用”に集中すること。Yahoo! はメディア企業であり、パブリッシャーでもあります。一人一人のユーザー体験を分析することにより、ユーザーが誰で、どのような性格や趣向を持っているかといった情報を受け取ることができます。とくに携帯端末において、ユーザー体験を向上させるために活用できるユーザーデータ量は、急激に増えています」と語る。

Yahoo!は2014年、ユーザーが携帯端末に搭載しているアプリ、利用時間、利用容量などの情報をメディア企業にフィードバックする事業を強化するために、アプリ内に搭載しているソフトウェアを開発する企業「Flurry」を買収している。また、過日、ロンドンで行われたNFLのバッファロー・ビルズとジャクソンヴィル・ジャガーズ戦を米太平洋時間の朝6時からライブ配信するという、技術面において難しい任務を成功させた。その イベントのユーザー数は1500万人、利用画面数は3300万画面だった。

「このユーザーデータは、従来のテレビから得られる数字よりも、ずっと明確で断固たるものといえます。ユーザーが中継時間のどのポイントで視聴し、どれぐらいの間、視聴し続けていたのかといったことがわかりました。宣伝広告の視点でいえば、中継の前後でどのような動きがあったかということもわかります」とディバインはいう。


意思決定しやすいソリューション提供のために

過去5年間で、7回の買収合併を経験したPublisher Platformsは、現在AOL傘下にある。同社海外事業部長のティム・マールマンは、「ビジネス構築はデータを核としています。ディスプレイ広告等のソリューション提供の中で、300万本以上のビデオと、6500本以上のビデオコンテンツを取り扱っていますが、様々な部門が一丸となり、より効果的、かつ効率的にデータを利用し、パブリッシャーが意思決定しやすいソリューションを提供します」という。

「外部から得られた豊富なデータを自社のデータセットに取り込むことにより、どのように携帯アプリにアプローチし、どのように広告主を探すのか、といった点で、より賢い選択をすることができるようになります」。

タレントマネジメントにもビッグデータを活用

タレントマネジメントを主軸にしたマーケティング・コミュニケーション・エージェンシーであるPMK-BNC最高経営責任者クリス・ロビショードは、タレントとそのファンがつながることをサポートする一方、そのタレントを使ってマーケティングを行う大手ブランドをサポートしているが、そこで強みにしているのもデータの活用である。

「7~8年前のエンタテイメント業界には、広告分野以外ではいかなるデータも存在しませんでした。私たちのビジネスでは、タレント契約によって数千万ドル規模が動きます。タレントが雑誌の表紙を飾り、メディア資料やトレーラーに登場することに対して、大手ブランドはどう絡めるのかを尋ねてきます。そこで、独自に構築したビッグデータや同類の商品を活用し、よりよいストーリーを発信するには? ブランドによりよい洞察を盛り込むためには? データをまったく違う方法で活用するにはどうするべきか? といったことを指南しています」。


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    ハリウッドにおいてはどのようにデータを活用すればよいか

    ビッグデータをビジネスの核とする、それを推進するためには欠いてはならないポイントがある。データをどのように活用すればいいのか――。ビッグデータを活用するビジネスに重要なのはそこだ。

    では、ハリウッドがクリエイティブ面、広告面、マーケティング面など様々な場面において効率的に動くために、そしてそのプロセスにおける弊害を減らすために解決すべき問題とはなにか?次回のレポートに続く。
     

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