VODビジネスの潮流 -配信ビジネスの成長とインディペンデント映画成功のカギ- (AFMカンファレンスから)
公開日: 2016/03/04
インディペンデントのフィルムメイカーにとって、VODは最も大きな収入源となっていく可能性を秘めている。観客の鑑賞方法が多様化する中、映画ビジネスにおいてどのような事業が成功を収めているのか。その要因はなにか。
昨年ロサンゼルスで開催されたAFM(American Film Market)におけるカンファレンス中での"Navigating the VOD Landscape: What Every Producer Needs to Know"のセッションを、本サイト読者の皆様に、「VODビジネスの潮流 -配信ビジネスの成長とインディペンデント映画成功のカギ-」と題して、現状と未来の展望についてディスカッションを3回に分けてレポートする。
以下は3つの記事構成とともに、モデレーターとパネリストの顔ぶれである。
(1/3) いまアメリカで起こっている変化とフィルムメイカーが考えるべきこと
(2/3) 配信ビジネスの課題~最適なウィンドウ戦略の模索~
(3/3) 配信ビジネスの展望~5年後はどうなる?4つの予測~
◆モデレーター
ラッセル・シュワルツ, Co-Principal, Pandemic Marketing Corp
複数の会社の社長を務めるとともに映画製作やマーケティング、配給など分野で豊富な経験を積んできた。2001年‐08年にはNew Line Cinema社の、2013年‐14年にはRelativity Media社の劇場マーケティング部門を統括し、自社作品の企画・戦略の構築や宣伝キャンペーンを手掛けてきた。New Line在職期間中、アカデミー賞での作品ノミネート数は44回、国内興行収益は何十億ドルも稼ぎ出した。
◆パネリスト
ハンニー・パテル, Sr. Director, Revenue & Product Marketing, DirecTV
ディレクTVのマーケティング部門の責任者。主にトランスアクション・ウィンドウ(TVOD:ペイパービュー)を手掛けている。ディレクTVはプラットフォーム提供会社であり、各家庭にコンテンツを提供している。デジタル・エンタテインメント・ウィンドウの分野で、消費者が確実に各家庭からコンテンツにアクセスできる環境を提供するという大きな役目を担っている。前職はショータイム社セールス&マーケティング部門のバイス・プレジデント。
スティーヴ・ニッカーソン, President, Home Entertainment, Broad Green Pictures
設立1年半のミニスタジオBroad Green Pictures社の取締役。積極的に作品の買付を行なっており、2015年には10作品を劇場公開した。そのうち1本はありとあらゆる方法での配給(流通)を試みている。VODや旧来のプラットフォームでのリリース、そして「プラン・プラットフォーム」と呼ぶ計画的プラットフォームリリース、また一斉拡大リリース(wide release)などを手掛ける。
リサ・ロマノフ, Managing Director/CEO Worldwide Distribution, Vision Films
Vision Filmsのマーケティングディレクター兼CEO。この業界で25年のキャリアを持つ。2011年からIFTA(Independent Film & Television Alliance)の委員会のメンバーであり、現在は法務委員会に所属し、また取締役委員会の副チェアマン兼副主事を担当している。ケーブル、電話、衛星放送からデジタル・プラットフォームや、iTunes、Xbox、Amazonといった全てのVODプラットフォームに取り組んできた。月に2~3本の長編映画、ドキュメンタリー作品、音楽関連作品と、映画と音楽コンテンツ両方のリリースを手掛ける。今回のほかのパネリストと違う視点を持つ。
ポール・デイヴィッドソン, SVP, Film & TV, The Orchard
コンテンツのライフ・サイクルにおいて流通可能箇所すべてで配給を行うことに注力し、成長させている。様々な自社製作のコンテンツを劇場興行から、コンテンツのライフ・サイクルをフルに生かし、デジタル、刑務所、イン・フライト、船とあらゆるウィンドウでのリリースを手掛けている。現在年に12本ほどの劇場公開を行ない、作品ごとに、どのようにリリースすれば効果的か、観客が最も多いのはどこか、というリリース戦略を決定している。
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