セミナー①「世界映画市場を俯瞰する」 【第4回】デジタル化がもたらしたもの:チケット購入データ活用と配信サービスとの共存
公開日: 2023/06/14
米ラスベガスにて開催された世界中の興行会社と配給会社が集まるコンベンション「CinemaCon(シネマコン)2023」(開催期間:4月24日~27日)から、世界映画市場の未来について、米ディズニーでグローバルの劇場配給部門を統括するトニー・チェンバース氏とオーストラリア最大手の興行会社イベント・シネマをはじめ、世界各国で興行会社を運営するEVTのCEOジェーン・ヘイスティングス氏が対談したセミナー「Globally Speaking: A Look at the Global Marketplace」の模様を4回に分けてレポートします。
第4回は興行会社が持つ顧客データの活用方法について議論を交わしました。興行・配給の双方からデータ活用のメリット・デメリットが語られたほか、興行会社が運営する動画配信サービスの意義についても触れました。
※本記事で触れられている内容は2023年4月時点の情報です
ジュリアン・マルセル(Julien Marcel)
ザ・ボックスオフィス・カンパニー:CEO
登壇者
トニー・チェンバース(Tony Chambers)
ウォルト・ディズニー・カンパニー:劇場配給部門統括エグゼクティブ・バイスプレジデント
ジェーン・ヘイスティングス(Jane Hastings)
EVT:マネージング・ディレクター兼CEO
顧客データを持つ興行が製作・配給に求めるもの
興行会社は、顧客と直接接点を持つ意味で、映画ビジネスにおける重要な存在。こうしたなか、ヘイスティング氏は、興行主が持つ顧客とのコネクションやデータベースにおいて、製作・配給側とさらに連携していくことが大事だと語りました。「多くの市場の興行主が日々トライしているように、興行会社には映画のマーケティングを行うポテンシャルがあります。そのためには、事前パブリシティも重要なので、タレントや製作陣、舞台裏話など、顧客に訴求できる素材に関して製作・配給側のサポートが必要です」。
顧客データ活用を取り巻く問題と生み出される価値
最後にセミナー参加者から、興行側が持つ顧客データの活用法について質問がありました。チェンバース氏もヘイスティング氏も、プライバシーに関する規制には従いつつも、マーケティングや広告におけるデータ活用が興行・配給・顧客のすべてに有益であると語りました。
チェンバース氏は、ディズニーがEU一般データ保護規則(GDPR)に準拠しており、その範囲内での話であることを前置きしたうえで、データ活用のメリットをアピール。「5~6年前は顧客と興行主の間にアグリゲーターがいましたが、今は、多くの興行主が独自のプラットフォームを持っている状態です。さらに先を見据えた興行主もいて、私たちは彼らと密接に仕事をしています。特定の個人が何を食べたか、といった詳しいデータではないものの、顧客の行動パターンを把握できるぐらいのデータはあり、興行・配給・観客のすべてにとって相互利益をもたらしています」。
「例えば、私がある映画館で『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』を観たなら、今度、別の映画館に長く運転していくことはほぼなく、同じ映画館で他のマーベル映画や類似作品を観る可能性が高いのです。つまり、”トニー・チャンバースとして“の動きは把握されなくても、”こういう観客として“の動きはデータ化されます。広告マーケティングには数百万ドル規模を費やすのですから、そうしたデータは活用すべきです」。
ヘイスティング氏も続けます。「GDPRの規制を守ることは重要で、“個別の顧客データ”を外部と共有することはありませんが、個別のデータを組み合わせて作り上げた……(以下、会員限定記事にて掲載)
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