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映画配給・興行のAI活用は一般層を上回る結果に、次の一歩は「AIで作る」「効果的な使い方」
公開日: 2026/10/02

GEM Partnersは2026年9月、映画配給・興行の方々に向けて、業務でのAI活用についてアンケートを実施しました。回答から見えてきたのはAIを「使っている」、自己評価では「足りていない」、そして「もっと使いたい」という3つの姿でした。アンケート回答を元に、AI活用の次のステップとして、今後どのような取り組みやスキルが求められるのかを読み解いていきます。

※本稿は、9月16日の「トーキョーシネマショー2026」(主催:外国映画輸入配給協会)における、GEM Partners代表取締役・梅津文の登壇内容を再編集したものです。

《目次》

 

アンケートでは、映画配給・興行の215名の方を対象に実施。比較対象として、一般企業の近い業種・職種の方々1076名にも聴取しました。

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回答者属性は、映画業界の回答者は40・50代が多めで若干男性割合が高く、一般パネルの方より役職のある方が多め。職種は宣伝に携わっている方が多く、配給と興行の差分では配給が56.2%と多くなりました。

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映画配給・興行では一般回答よりAIを「使っている」、社内に配る所まで浸透

利用頻度に関する質問では、「仕事で週1回以上使う」の割合は、一般パネルの49.7%に対し、映画業界では86.5%でした。「ほぼ毎日使う」の回答も一般パネル23.7%と比べて映画業界では48.4%と、倍以上の割合となりました。

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ツールごとの利用状況を見ると、映画業界では、Googleが提供するGeminiの利用が75.6%と多いのが特徴です。契約形態でみると、会社から契約・支給された有料版のGeminiの利用割合が高くなりました。一方で、ChatGPTの利用率は一般パネルとほぼ同程度で、利用形態でも「会社が契約した有料版」の使用割合が映画業界よりも高いという、対照的な結果になりました。

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職場でのAI環境整備についても見てみます。映画業界では、全社に有料版を配り、ルール・ガイドラインを整えて日常的に使える環境整備は40%前後と一般パネルよりも進んでいました。しかし、「社内データをAIが参照できる」は18.1%、「AI前提に業務・配置を見直した」は0%。AIを使い、社内に配るところまでは進んでいる一方、社内データをAIに「つなぐ」、AIで業務を「作り変える」ことについては、これからという段階でした。

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職場でのAIの使い方では、映画業界・一般パネルともに、コミュニケーションや資料作成での利用割合が高くなりました。企画のアイデア出し、メールやチャットの文面作成、企画書や報告書の作成などがこれにあたります。全体として「問いかけて答えをもらう」使い方が中心で、AIに仕事を任せたり、何かを作らせたりするステップには移っていません。

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「人間の方が面白い映画・ドラマをつくれる」「AIの答えはそのままでは使えない」が優勢に

続いて、AI活用への意識を見ていきます。クリエイティブ・映画作りに関する質問では、「AIよりも人間の方が面白いドラマ・映画を作れる」という意見に対して強い同意が示されました。また「AIが作ったコンテンツは価値が低いと感じる」割合も高く、好奇心からAIコンテンツを体験したいかという問いに対しても否定的な意見が比較的高めです。

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一方でビジネスでのAI活用に対しては、映画業界では「思考が退化している」「かえって大変になっている」「後ろめたさがある」といった懸念には否定的な回答が多くを占めました。同時に「AIの答えはそのままでは使えない」と冷静に捉えています。

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自己評価は一般よりシビアで「足りていない」、9割が「もっと使いたい」と回答。
最大の壁は「効果的な使い方がわからない」

AIを「使っている」との回答が一般パネルよりも多かった映画配給・興行ですが、反面、自己評価についてはシビアな結果となりました。映画業界では「自分は使いこなせていると思わない」「会社が乗り遅れていると思う」「やり方を変えなければならない」と感じている割合は一般パネルよりも高くなりました。

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また、今後について「もっと利用したい」との回答は、一般の17.5%に対して映画業界では68.8%でした。「もう少し利用したい」と合わせると90.2%で、一般パネルの57.0%と大きく差がついています。

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AIの利用を阻むボトルネックとして、映画業界では「効果的な使い方が分からない」が首位となりました。また「著作権・権利関係が不安」は29.8%で一般(9.8%)の3倍、「情報漏洩・セキュリティが不安」は34.9%で一般(16.7%)の2倍以上と、業界ならではの回答も出ています。

対して「有料版がない」は10.2%、「社内ルールが未整備」の回答は8.8%と低く、活用環境はおおむね整備されつつあるようです。

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では、ここまでに課題として挙がった、AIで「作る」ことや、「効果的な使い方がわからない」といった壁はどう乗り越えればよいのでしょうか。

 

目指すべき地点は「AIで作る」、非エンジニアも開発できる「民主化」をもたらす

前半で課題として挙がった「AIで作る」行為こそ、AIが仕事にもたらす可能性のなかでも最大のポイントです。インターネット・デジタル技術はテキスト・写真・映像の発信を誰でもできるようにしてきました。AIはその歴史の延長線に立っており、ソフトウェア・アプリケーションを非エンジニアでも作れるようになりました。

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GEM Partners社内でも、26年初頭は全社でGeminiを使い、一部のエンジニアのみClaudeを使用している状況でした。しかし、この半年の間に、社内のナレッジを束ね、7月の全社イベントで配布したことからAI活用が活発化。一気に「作る」体制へと変わっていきました。

総務・労務担当者が作った「勤怠管理ダッシュボード」は、AIの民主化の最たる例といえます。この開発は、AIにデータを共有し「これでダッシュボードを作れる?」とClaudeに聞いた一言から始まりました。担当者はコードを書くことなく完成させ、毎月1時間半以上かかっていた集計作業が5分でできるようになりました。

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この事例に、先ほど挙げた「AIの使い方がわからない」という壁を越えるヒントがありそうです。つまり、AIの使い方に迷うならば、AIにそのまま聞けばいいということです。例えば、あなたが映画の宣伝担当であれば、AIに「私は映画の宣伝担当です。毎週やっている仕事はこれです」と紹介し、「あなたに任せられそうなものを挙げて、そのために必要な情報を1つずつ質問してください」と指示することです。ここからの対話を通じ、実用的なツールを組み立てていくのも1つの手段だといえます。

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AIとデータを使い倒し、最後は人が決める

最後に、映画配給・興行の方々が回答した「これからのAI時代に、今後必要になると思うスキル」を紹介します。自由記述で質問したところ、51件の回答は下記の大きく3つに分かれました。いずれも、AIの先にある「人の力」を挙げています。

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答えのある仕事は、AIで誰でも80点の回答を出せる時代だからこそ、差がつくのは個性やリアルな人間味といった部分です。また、作業途中のプロセスをAIが自動化できるため、起点となるリーダーシップと、最後の責任を取るラストマンシップがより重要になっていきます。AIとデータを使い倒した上で、最後は自分たちの直感で新しい価値を出していく。そういった人間力がより重要になってくる時代ではないでしょうか。

 

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