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『映画ちいかわ』、鑑賞者層や入場者プレゼントの効果は?データから読み解く
公開日: 2026/10/16

2026年の国内興行収入で首位(10月16日時点)となり、アジア圏でも上映の始まった『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。公開前から現在まで、チャームミニフィギュアやボンボンドロップシールなど、入場者プレゼント施策が度々話題となっています。同作品はどのような層が鑑賞し、入場者プレゼント施策にはどのような効果があったのでしょうか。映画鑑賞者属性、興行収入、販売座席数など各種データを用いて、その裏側をひもといていきます。

《目次》

 

 

鑑賞者は女性とライト層が中心
「2回以上鑑賞」「グッズ購入」が夏期主要作品で最多に

まずは『映画ちいかわ』鑑賞者の特徴を見ていきます。劇場公開映画の鑑賞者属性、満足度・続編意向、鑑賞行動・動機などが分析できる「CATSシネマ鑑賞者スコープ」のデータによると、下図の通り、女性比率は68%、中心層は女性20~40代であることが分かりました。また、鑑賞者の年間鑑賞本数を見ると、「年1~2本」のライト層の割合が45%で最多となりました。

同時期平均と比較しても女性比率、ライト層の比率は高く、女性を中心に、普段あまり映画館に行かない層が劇場に足を運んでいます。

図1:『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』鑑賞者の性年代別・年間鑑賞本数別の割合(同時期平均と比較)
図1:『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』鑑賞者の
性年代別・年間鑑賞本数別の割合(同時期平均と比較)
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こうした鑑賞者に特徴的な行動特性はあるのでしょうか。『映画ちいかわ』を含む夏期公開映画の主要10作品※1を対象として、「シネマ鑑賞者スコープ」の「鑑賞者の行動」で比較したところ、「2回以上映画館で観た」「映画館で作品関連グッズを購入した」の割合が10作品内で最も高い値となりました。

※1:2026年7・8月公開作で、実査日(2026年9月12日)週末までの累計興行収入上位10作品

図2:2026年夏期公開映画 主要10作品における「2回以上映画館で観た」「映画館で作品関連グッズを購入した」の割合
図2:2026年夏期公開映画 主要10作品における
「2回以上映画館で観た」「映画館で作品関連グッズを購入した」の割合
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『映画ちいかわ』のリピート率が高い要因の1つとして、入場者プレゼントの効果が考えられます。また、作品関連グッズの購入割合も高いことから、入場者プレゼント=グッズへの興味の高さもうかがえます。そこで次は、入場者プレゼントの効果や本作との相性について確認していきます。

 

入場者プレゼント配布に合わせ、興行収入と劇場はどう動いたのか

下図は、『映画ちいかわ』の週末興行収入(棒グラフ)と、劇場が用意した座席数(折れ線グラフ)の推移です。座席数は公開週を100として指数化しました。▼で示している入場者プレゼントの配布が始まる週には、週末興収が伸びていることが見て取れます。

図3:『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』週末興行収入と座席数の推移(2026年7月24日~10月12日)
図3:『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』
週末興行収入と座席数の推移(2026年7月24日~10月12日)
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赤線で示した座席数を見ると、『映画ちいかわ』では第2弾以降の入場者プレゼント配布が始まる土曜日のたびに、座席数が大きく増えていました。劇場では通常、空席による機会損失を防ぐため、公開週の座席を最も多く用意し、日が経つにつれて減らしていきます。

他作品においても、大型連休やお盆時期に合わせた座席数の大幅増や、入場者プレゼント配布時に座席数を多少増やす動きは見られているものの、入場者プレゼント配布のたび大幅に座席数を増やしているところは、『映画ちいかわ』の特徴的な点だといえます。劇場側は配布開始日の来場者増を見込み、そのタイミングに合わせて座席を確保していた様子がうかがえます。

 

『ちいかわ』ファンは、何にお金を使いたいのか

作品関連グッズの購入割合の高い本作。配布開始のたびに週末興行収入が伸びた背景には、配られたグッズと『ちいかわ』ファンとの相性の良さも関係していたのではないでしょうか。そこで『ちいかわ』の推しファン(=推しているファン)全体が、どのような分野にお金を使いたいと考えているのかを深掘りします。

「エンタメブランド※2」の推しファンを分析できる「推しエンタメブランドスコープ」のデータを用いて分析しました。比較対象は、前述した夏期公開映画の主要作品と関連するブランドで、直近1年間の支出意欲のあるカテゴリを比べたものが下記のランキングです。

※2:作品やコンテンツを、映像、マンガ・書籍、映画、ゲーム、音楽、ラジオなど各メディアを横断してひとつの「ブランド」として捉えたもの。対象範囲は作品だけでなく、キャラクター、タレント、サービスなども含む

図4:夏期公開の主要映画との関連9ブランドにおける推しファンの「カテゴリ別支出意欲」ランキングTOP10(直近1年間)
図4:夏期公開の主要映画との関連9ブランドにおける
推しファンの「カテゴリ別支出意欲」ランキングTOP10(直近1年間)
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夏期主要作品9ブランドのうち、6ブランドで「映画館での映画」が1・2位に入りました。一方で『ちいかわ』は7位と、低さが目立っています。『ちいかわ』の上位に並んだのは「おもちゃ」「雑貨」「文房具」であり、他作品と比べて「映画館での映画」よりもグッズに対する意欲が高いことが分かります。入場者プレゼントとして配られたチャームミニフィギュア(おもちゃ・雑貨)やボンボンドロップシール(雑貨・文房具)、プルバックカー(おもちゃ)などは、ファンのニーズと重なるプレゼントであったといえます。

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『映画ちいかわ』の鑑賞者は女性が中心で、普段あまり映画館に行かないライト層も多く足を運んでいました。劇場でグッズを買う人や、繰り返し観に来る人が多いことも特徴です。

入場者プレゼント施策においては、配布物が推しファンにとって「お金を使いたい」と考える分野と重なっていました。加えて、劇場では公開週以降の配布タイミングに合わせて、つど座席数を増やす動きが見られました。製作・配給が用意したグッズとファンの好み、劇場の受け入れ態勢が重なり、配布のたびに興行の山を生んでいたと考えられます。

年内には、第3・4・6弾のリバイバル配布も予定されている同作品。入場者プレゼントが今後の興行にどう表れるのか、引き続き注目されます。

出典:「CATS シネマ鑑賞者スコープ」
劇場公開作品の鑑賞者属性、満足度・続編意向、鑑賞行動・動機とともに、「作品を認知しているが観てない人」の属性やその理由も分かるオンラインダッシュボード。鑑賞者調査としての利用はもちろん、豊富な鑑賞者データのなかから、宣伝作品の過去類似作品を発見し、深掘り研究することが可能です

出典:「推しエンタメブランドスコープ」
毎月約3万人、全国に住む15~69歳の男女に対して、メディアを横断し「いま、推しているエンタメブランド」に関する大規模調査を実施。エンタメブランドの価値をメディア横断でとらえ、<推しファン人数><支出金額><接触日数>を集計しているほか、これらの値から総合指標<推しエンタメブランド価値(単位:GEM)>を算出しています