洋画・欧米ドラマからアニメへシフト、次の市場ブーストはスポーツに期待~定額制動画配信サービスの10年をデータで振り返る
公開日: 2026/02/26
定額制動画配信サービス(以下、SVOD)の利用率は拡大を続け、多くの人々にとって身近なサービスとして定着しました。次々とサービスがスタートした10年前、SVODは映画・欧米ドラマの視聴を売りにしていましたが、現在SVODで大きな存在感を放っているジャンルは「アニメ」です。果たして「アニメ」への視聴シフトは、いつ、誰が起こしたのでしょうか。そもそも、以前は本当に映画・欧米ドラマ視聴がメインだったのでしょうか。動画配信市場を含む、映像ホームエンタテイメント市場の利用実態について全国に住む15~69歳の男女約1万5000~2万人弱を対象とした年次調査から、2016年以降の10年分のデータを用いて視聴ジャンルの変遷を紐解きます。
- SVOD利用率は10年で約3.6倍にまで上昇
- SVOD利用者は「映画・海外ドラマ」視聴者から「アニメ・日本ドラマ」視聴者へとシフト
- 「アニメ・特撮」視聴者はすべての年代で伸び、「洋画」離れは若年層中心
- 「スポーツ」が新たな市場ブーストの鍵
SVOD利用率は10年で約3.6倍にまで上昇
まず、SVOD全体の利用率の推移を見てみます。日本全国に住む15~69歳のなかでSVOD利用率は、2016年には11.4%でしたが、この10年で約3.6倍となり、2025年には40.7%と約4割まで広がりました。
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この急速な普及の裏で、視聴ジャンルに大きな構造変化が起きていました。具体的にどのような「入れ替わり」があったのか、見ていきます。
SVOD利用者は「映画・海外ドラマ」視聴者から「アニメ・日本ドラマ」視聴者へとシフト
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上記はSVOD利用者が各ジャンルを1年以内に鑑賞した割合の推移です。2016年、SVODで1年以内に観たと答えた割合が最も高かったジャンルは「洋画」(青)でした。次いで「海外(欧米)ドラマ」(黄)です。当時のSVODユーザーにとってSVODは「洋画、および海外ドラマを観るサービス」として捉えられていたことが分かります。特に「洋画」と答える割合が高い傾向は長く、2020年頃まで続きました。
しかし、コロナ禍を迎えた2020年を境に変化が訪れます。2019年には39%だった「アニメ・特撮」(赤)を視聴した人の割合が徐々に増加し、2023年には10ptアップの49%を記録。長らく首位だった「洋画」を上回りました。また、2023年以降に「洋画」の鑑賞者の割合の減少が続いたことに加え、「日本のドラマ」(緑)の値が2019年以降に伸長したこともあり、2024年に「日本のドラマ」も「洋画」を追い抜いています。
最新2025年調査では、ジャンル別に観たと答えた割合が最も高いのは「アニメ・特撮」、続いて「日本のドラマ」となりました。 2016年に38%で2位だった「海外(欧米)ドラマ」は大きく減少し、24%の5位となっています。この10年で利用者にとってSVODサービスは「海外コンテンツ」から、「アニメ・日本ドラマ」を観るものにシフトしたことが分かります。
「アニメ・特撮」視聴者はすべての年代で伸び、「洋画」離れは若年層中心
次に、この変化を「誰」が引き起こしたのか、年代別に鑑賞ジャンル傾向を深掘りします。
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「洋画」離れは若年層で顕著
全体でシェアを落とした「洋画」ですが、年代別に見るとその減少幅には差があります。15-19歳、20代の若年層では、2020年以降に利用率の低下が顕著に現れています。一方、50代以上は減少してはいるものの、若年層ほどドラスティックではありません。
「海外(欧米)ドラマ」は全年代で減少
「海外(欧米)ドラマ」は年代を問わず減少傾向にあります。特に高齢者でその傾向が強く、60代は2016年から17pt、50代は16ptも落としています。
「アニメ・特撮」は全年代で伸長
全体で視聴したと答える割合がこの10年で大きく伸び、最も高い値となってる「アニメ・特撮」は、15-19歳、20代、30代、そして40代までの幅広い層で大きく右肩上がりとなり、2022年以降、ほぼ50%を超えています。さらに50代以上でも値は40代以下と比べると低いものの、10年前から同様の右肩上がりで高まっています。このように、若者だけではなく、全年代でアニメを視聴する習慣が高まっていると言えます。
「日本のドラマ」はシニア層で伸長
「日本のドラマ」でも幅広い層で上昇傾向が見られます。特に60代は2016年から18ptと大きく伸びており、シニア層にとって「日本のドラマ」の重要性が増していることが分かります。また、割合は60代に比べると少ないですが、15-19歳も2016年から18pt伸長していることにも注目です。
「スポーツ」が新たな市場ブーストの鍵
SVOD利用率は2025年に40.7%に達しましたが、この3年間における前年比の増加は1.5pt以下となり、成長が鈍化しています。市場における利用率が再び増加するためには新しいジャンルの伸びが期待されますが、現在の主軸である「アニメ・特撮」や「日本のドラマ」の伸びも落ち着くなか、今後はどのジャンルに市場けん引の可能性があるのでしょうか。
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上記左のグラフは、2020年のコロナ禍後に期間を絞ったジャンル別の視聴者割合の推移です。右側の表は、コロナ禍から2025年までの変化(A)、およびコロナ禍が収束した新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の期間となる過去3年間の変化(B)です。「アニメ・特撮」は前述の通り、コロナ禍以降(A)に最も伸びていますが、コロナが収束したこの3年間(B)は停滞しています。一方、割合としては他ジャンルに比べて少ないですが、コロナ禍以降(A)も大きく増加し、さらにコロナ収束後(B)に最も伸長しているのが「スポーツ」です。
事実、各配信事業者は近年、スポーツ番組の配信権の獲得に成長の活路を見出しています。Netflixが今年のWBC(ワールドベースボールクラシック)の独占配信権を獲得したことが話題を呼んだほか、ABEMAによるMLB(メジャーリーグベースボール)中継や、Prime VideoやLeminoによるボクシング配信などが例としてあがります。近年成長が鈍化したSVOD市場において、多様な競技を網羅する「スポーツ」が、次なる市場ブーストを担う有力候補といえるでしょう。
映像ホームエンタテイメント市場における消費者の利用意識・行動に関する白書として、動画配信(VOD)/放送/ビデオソフト市場を網羅的に分析。各サービスの利用状況やブランドの浸透状況をはじめ、市場全体がこの1年でどう変わり、どう動いているかを把握できる、年1回発行のレポートです。今年度版は10年間の市場変遷を網羅した「特別付録」を無料同梱しています。
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