映画館と動画配信の相乗効果~2021年の締めくくりに
公開日: 2021/12/24
『マトリックス レザレクションズ』 公開中
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<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(12月18、19日)>
1.(NEW) | マトリックス レザレクションズ | 1週目 |
2.(1) | あなたの番です 劇場版 | 2週目 |
3.(NEW) | ボス・ベイビー ファミリー・ミッション | 1週目 |
4.(NEW) | 仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ | 1週目 |
5.(2) | ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ | 3週目 |
6.(3) | ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories” | 4週目 |
7.(4) | ミラベルと魔法だらけの家 | 4週目 |
8.(5) | 映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ | 7週目 |
9.(6) | そして、バトンは渡された | 8週目 |
10.(7) | ラストナイト・イン・ソーホー | 2週目 |
※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
2021年も締めくくり。年間の興行収入は昨年を少し上回るものの、19年以前の「例年」比では6~7割となる見込み。映画館で映画を見る映画参加者人口も新型コロナウイルス禍前と比べて3分の2程度まで減少した(※1)。一方で、有料定額制動画配信サービスの利用者は大幅に増加。映像を楽しむ二つの方法は大きく異なる状況となった(※2)。 ※1:参考記事「夏の映画興行の終わりに 市場の構造変化について」
※2:参考記事「<2021年 映像コンテンツ利用実態分析>動画配信サービスの躍進続く 有料定額制・無料の利用率はそれぞれ前年比+4.8pt、+3.4ptを記録、一人当たり定額制サービス利用数は1.7個で前年と変わらず」
しかし人々が映画館に来なくなったのは、動画配信での映画視聴が増えたことが主な理由ではない(※3)。そもそも配信サービスの視聴数や視聴時間の大半は、アニメやドラマである(※4)。むしろ配信が映画興行の後押しとなる側面もある。劇場公開時にその映画の関連作品は、動画配信視聴数が増える傾向にある。 ※3:参考記事「コロナ明けに向かう映画市場の構造の今」
※4:参考記事「<2021年上半期総括>『呪術』『鬼滅』等が上位をキープ、『東リベ』急上昇中、アニメの圧倒的存在感~定額制動画配信サービス 視聴者数pt調査 ~」
例えば、動員ランキング上位の『マトリックス レザレクションズ』『あなたの番です 劇場版』『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』などもそうだ。
ボタン一つで過去作品や関連作品、つまりその映画の世界観に触れられることは新作の興味度を上げ、鑑賞体験価値を高める。
足が遠のいた映画ファンの背中を押すのは、コロナ禍の終息と作品の力。来年に公開が控えている期待作でさらに多くの人が映画館に戻ってくるだろう。コロナ禍で映像エンターテインメントは変化した。新しい形で作品が観客を見つけて物語を伝えていく。
(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載
◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『新しい形で伝える物語』(毎日新聞2021年12月24日 東京夕刊)
【調査対象】日本在住の15~69歳の男女
【回答者数】各回 約7,000人
【数値重みづけ】総務省発表の人口統計を参考に回答者を性年代別に重みづけ
【集計方法】視聴したコンテンツについては自由回答方式で聴取。これをGEM Partners開発によるエンタメコンテンツ辞書を用いて名寄せ・集計を実施。コンテンツごとの視聴したシーズン数やエピソード数等は区別せず、一部でも観たと回答した人を視聴者としてカウント。また、劇場/テレビ版や海外/国内版も同一コンテンツとしてカウント(一部例外あり)。複数回観ても1カウントとしている。 ※名寄せ辞書のアップデートに伴い、過去に遡って値が修正されることがあります
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